事業用宅地等の特例
小規模宅地等の特例には、
- 特定事業用宅地の特例
- 特定同族会社事業用宅地等の特例
- 貸付事業用宅地等の特例
- 特定居住用宅地等の特例
の4種類の特例があります。
特定事業用宅地等の特例の概要
個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をし次の要件を満たすもので限度面積400㎡までの部分については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、80%を減額します。
特定事業用宅地等の要件
区分 | 要件 |
被相続人の事業の用に供されていた宅地等 | その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること |
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。 | |
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等 | 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること。 |
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。 |
トランクルームスキーム
遊休地を所有する地主等の節税対策として、トランクルームスキームがあります。
これは遊休地にコンテナ等を設置若しくは簡易な建物を建設し、トランクルームとして利用者に倉庫代わりや物置代わりに利用してもらい、利用料を頂くビジネスです。
この場合、所得税の計算上は事業所得となり確定申告をします。
もし、この事業の所得がマイナスであれば損益通算ができます。
したがって、このトランクルームを設置している土地については、相続税を計算する際は、要件を満たしていれば上記の小規模宅地等の特例の適用を受けることができました。
改正事項
今回の改正により、
平成31年4月1日以降の相続から、事業用の土地の上に設置してある「減価償却資産」が土地の価格の15%以下の場合は、上記の小規模宅地等の特例の適用が受けられなくなります。
平成31年度税制改正大綱には、「トランクルーム」の文言は一切ありませんが、「建物」ではなく、「減価償却資産」と記載しているあたりがこのトランクルームスキームのことを指しているのは明らかです。
ただし、所得税を計算する確定申告の際は、事業所得として計算することは変わりなく、損益通算もできます。
相続税を節税するためにトランクルームスキームを今から始めようということであれば、建物の価格が土地の15%以上にならないと相続税を計算する際の小規模宅地等の特例の適用を受けることができませんので注意が必要です。