地球温暖化の原因である温室効果ガスの削減に一役買う森林を整備するために導入される森林環境税および森林環境譲与税については、平成30年度税制改正大綱において前倒しで公表されています。
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平成31年度税制改正大綱に記載された内容は前年に発表されたものと同じですが、森林環境譲与税が森林環境税よりも5年前倒しで施行されるための借入金償還についての詳細が追加されています。
森林環境税の創設
昨年発表された内容と同じです。
- 基本的な仕組み
- 納税義務者等……環境税(仮称)は、国内に住所を有する個人に対して課する国税とする。
- 税率……森林環境税(仮称)の税率は、年額1,000 円とする。
- 賦課徴収……森林環境税(仮称)の賦課徴収は、市町村において、個人住民税と併せて行うこととする。
- 国への払込み……市町村は、森林環境税(仮称)として納付又は納入された額を都道府県を経由して国の交付税及び譲与税配付金特別会計に払い込むこととする。
- 施行期日
森林環境税(仮称)は、平成36 年度から課税する。- その他
個人住民税に準じて非課税の範囲、減免、納付・納入、罰則等に関する所要の措置を講ずる。
(税制改正大綱より)
森林環境税を納付した場合の取り扱い
森林環境税を納付をした場合の納付額は、所得税および住民税の計算において必要経費にならないとされました。
森林環境譲与税(仮称)の創設
昨年の公表から、市町村の私有林人工林面積は林野率により補正される点が追加されました。
基本的な仕組み
- 森林環境譲与税(仮称)
森林環境譲与税(仮称)は、森林環境税(仮称)の収入額に相当する額とし、市町村及び都道府県に対して譲与する。
- 譲与基準
- 環境譲与税(仮称)の10 分の9に相当する額は、市町村に対し、当該額の10 分の5の額を私有林人工林面積で、10 分の2の額を林業就業者数で、10 分の3の額を人口で按分して譲与する。
- 環境譲与税(仮称)の10 分の1に相当する額は、都道府県に対し、市町村と同様の基準で按分して譲与する。
(注)市町村の私有林人工林面積は、次のとおり林野率により補正する。
区 分 補正の方法 林野率85%以上の市町村 私有林人工林面積を1.5 倍に割増し 林野率75%以上85%未満の市町村 私有林人工林面積を1.3 倍に割増し 林野率75%未満の市町村 補正なし
- 使途及び公表
- 市町村は、森林環境譲与税(仮称)を、間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用に充てなければならないこととする。
- 都道府県は、森林環境譲与税(仮称)を、森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用に充てなければならないこととする。
- 市町村及び都道府県は、森林環境譲与税(仮称)の使途等を公表しなければならないこととする。
(税制改正大綱より)
施行期日
森林環境譲与税は、平成31年度から譲与する。
創設時の経過措置
森林環境譲与税の借入金の部分についての詳細が公表され、償還金額が明らかになりました。
- 平成31 年度から平成35 年度までの間における森林環境譲与税(仮称)は、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金をもって充てることとし、各年度における借入金の額及び譲与額は次のとおりとする。
期 間 借入金の額及び譲与額 平成31年度から平成33年度まで 200 億円 平成34年度および平成35年度 300 億円 (注)借入金の額には、当該年度における利子の支払に要する費用等に相当する額を加算する。
- 平成36年度から平成44年度までの間における森林環境譲与税(仮称)は、森林環境税(仮称)の収入額から借入金の償還金及び利子の支払に要する費用等に相当する額を控除した額に相当する額とし、各年度における借入金の償還額は次のとおりとする。
期 間 償還額 平成37年度から平成40年度まで 200 億円 平成41年度から平成44年度まで 100 億円 (注1)平成36 年度においては、借入金の償還は行わない。
(注2)償還額には、平成31年度から平成35年度までの利子の支払に要した費用等に相当する額を各年度の借入金の償還額に応じて加算する。
- 平成31年度から平成44年度までの間における森林環境譲与税(仮称)の市町村及び都道府県への譲与割合は、次のとおりとする。
期 間 市町村 都道府県 平成31年度から平成36年度まで 100 分の80 100 分の20 平成37年度から平成40年度まで 100 分の85 100 分の15 平成41年度から平成44年度まで 100 分の88 100 分の12
(税制改正大綱より)