第68回税理士試験合格発表
本日、平成30年12月14日は税理士試験の合格者が発表されました。
合格された皆様おめでとうございます。
惜しくも合格できなかった皆様、気持ちを切替え来年の合格のために、今年の試験の反省と今からできることを始めていきましょう。
と昨年の発表時と同じ出だしで書き出しましたが、昨年の合格発表の時もこちらで思いを述べさせていただきました。
今年の税理士試験は非常に厳しい結果となっていると感じます。その厳しい門をくぐり抜け合格を勝ち取った皆様は、今後活躍できると確信します。
私が受験していたころは大阪府の合格率が一番高く21%前後であったため、私は大阪まで遠征して受験していました。今年はその大阪府の合格率は15%。一番高い愛知県でも17.1%と非常に厳しい結果となっていることがうかがえます。
また、昨年は財務諸表論の合格率が30%近くだったのですが、今年は13.4%と昨年の合格率よりも半減以下となりました。ようやく正常に戻った感もありますが、年によってこれほど差があるのもいかがなものかと思ってしまい、昨年の異常さが際立っている結果となっています。
私の周りでは相続税を最後の5科目目にしている人が結構いました。相続税を最後にしているということは、法人税か所得税は合格しているということになります。税理士試験で法人税か所得税を合格するということはかなりの精鋭なわけで、その人達が挙って合格を争う相続税は合格するには狭き門となってしまっています。
合格率を下げるために得点調整も行われているのではないかと都市伝説まであり、最後の相続税で何年もかかってしまったという話もよく聞く話です。
申込者数と合格者数の減少
昨年も受験者数が減少していることについては、述べさせていただきました。今年の受験者数はさらに減少しています。
原因は様々あるでしょうが、公認会計士試験に流れていたり、大学院に通う人が増えたり等が考えられるのでしょう。
トータルの受験者数が30,850人。受験者数の延べ人数では42,063人。来年は延べ人数で4万人切るかもしれません。
昨年の財務諸表論の受験者数が10,424人だったのが、ついに財務諸表論の受験者数は1万人を切り8,817人となりました。簿記論は11,941人でしたが、もしかすると来年の受験者数は1万人を切る可能性があります。また、5科目合格して官報に掲載された方も昨年は795人だったのが今年は672人と700人を割り込みました。
一部科目合格者数も昨年は5,839人だったのが今年は4,044人。ここまで減少していると10年後どこまで減少しているものやらと思ってしまいます。
税理士はAIにより消える職業?
税理士はAIによって「消える職業」でも上位にランキングされる職業と言われていますが、確かに節税をせずに無駄に税金を納めるような申告書を作成するのであればAIでも素人でもできるでしょう。
しかし、私はお客様にとってお客様のためになる提案をすることはAIにはできないと考えています。
現状税理士は飽和状態と言われ、独立しても仕事がない方もおられると聞いています。それでも税理士は60歳以上の方が一番多い職業でもありますから、これからその方々の相続を考えれば10年後20年後は逆に人数が減っていくかもしれません。
そう考えると、日本では申告納税制度が採用されている中で、税理士制度を将来的にどう維持していくのかわれわれ次世代に課された課題なのかもしれません。