新型コロナウイルス感染症の影響による緊急経済対策における税制上の措置
新型コロナウイルス感染症の影響が深刻です。
経済のほとんどがストップしている印象があるほどです。
そこで、緊急経済対策が閣議決定されました。
今後、補正予算として国会で成立すれば施行されるものになります。
今回の緊急経済対策のうち、税制上の措置は以下の8点です。
- 納税の猶予制度の特例
- 欠損金の繰戻しによる還付の特例
- テレワーク等のための中小企業経営強化税制
- 文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対する払戻請求権を放棄した観客等への寄附金控除の適用
- 住宅ローン控除の適用要件の弾力化
- 消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例
- 特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税
- 中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減
納税の猶予制度の特例
今回の特例
令和2年2月1日以降の一月以上の間で、収入が前年同期と比較し20%以上減少している場合には、1年間無担保かつ延滞税なしで納税が猶予されます。
この措置は地方税や社会保険料にも適用されます。
印紙税、収入証紙には適用されません。
令和3年1月31日までに納期限が到来するものに適用されます。
従来(参考)
- 原則、担保提供
- 延滞税は年1.6%(通常の延滞税より軽減)
欠損金の繰戻しによる還付の特例
欠損金の繰り戻し還付制度とは以下のような場合に適用できる制度です。
前事業年度:利益を計上し法人税を納付
当事業年度:欠損(損失)を計上
→ 前期納付した法人税のうち当期の欠損に対応する税額の還付を受けることができる
今回の特例
今回の特例により、資本金が1億円超10億円以下の中堅企業にも、令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に限り適用が認められます。
従来(参考)
この制度は資本金が1億円以下で大企業と完全支配関係がない中小法人のみ適用が認められています。
テレワーク等のための中小企業経営強化税制
中小企業経営強化税制とは、
- 監督省庁に経営力向上計画を提出する
- 監督省庁から認定を受けた経営力向上計画に基づき、生産性向上設備や収益力強化設備を取得し事業の用に供する
⇒取得価額相当額の全額を費用計上若しくは取得価額相当額の7%(資本金3,000万円以下の法人は10%)の税額控除ができる
という制度です。
今回の特例
対象設備にテレワーク等のための設備投資に係る新たな類型が追加されました。
住宅ローン控除の適用要件の弾力化
住宅ローン控除については、
令和2年12月31日までに消費税10%が適用された住宅を購入し入居すれば13年間住宅ローン控除の適用を受けることができます。
今回の特例
- 新型コロナウイルス感染症の影響により工事が遅れた
- 令和3年12月31日までに入居する
⇒13年間の住宅ローン控除の適用を受けることができる
従来(参考)
- 住宅ローン控除の適用期間は10年
- 令和2年12月31日までに消費税10%が適用された住宅を購入し入居した場合には13年間住宅ローン控除の適用
消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例
輸出が多かったり、大きな固定資産を購入したりすると消費税が還付されることがあります。
納税義務がない課税期間この還付を受けるためには、その課税期間が開始する前に「消費税の課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。
今回の特例
- 令和2年2月1日から令和3年1月31日までの間の一月以上の期間で、売上が前年同期と比較し50%以上減少
- 課税期間の開始後の申請による適用の変更が認められる
- 翌課税期間に適用を取りやめることが認められる
従来(参考)
- 「課税事業者選択届出書」、「課税事業者選択不適用届出書」の提出については、その課税期間開始前に届出が必要
- 課税選択を行った場合は、2年間の継続適用が強制
中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減
事業者が所有する償却資産、事業用不動産については固定資産税および都市計画税がかかります。
今回の特例
- 令和3年分にのみ適用
- 中小事業者等であること(資本金1億円以下の法人、従業員1,000人以下の法人・個人)
- 令和2年2月から10月までの任意3ヶ月の売上が前年同期と比較し、
30%以上50%未満減少:2分の1軽減
50%以上減少:全額軽減 - 令和3年1月31日までに、認定経営革新支援機関等の認定を受けて、各市町村に申告する必要あり