ダイレクト納付とは
ダイレクト納付とは
事前に税務署へ届出等をしておけば、e-Taxを利用して電子申告等又は納付情報登録依頼をした後に、簡単な操作で届出をした預貯金口座から即時又は指定した期日に電子納付することができる手続です。
先日、税理士会の定例会に出席したところ税務署の幹部の方がダイレクト納付を勧めていっらしゃいました。
個人の確定申告については、振替納税の手続きをすると1か月かけて税務署で振替納税の手続きをし、毎年4月20日前後に自動で指定の口座から引き落とされますから問題はありません。
法人の場合はネットバンキングを使用されていない法人であれば、このダイレクト納付によりご自身で振替納税の手続きをして、期限内であれば期日を指定して振替納税ができます。(ネットバンキングをされている法人の場合はダイレクト納付手続きをすることにより、ネットバンキングによる納付又はダイレクト納付による納付を選択することができます。)
また経理を会計事務所に委託されている場合には、税理士が代行して納税の手続きをすることができるため、納税者の方は何も手続きをしなくても自動的に口座から税金が引き落としをされます。
ネットバンキングを使用されていない法人の方がわざわざ金融機関に足を運んで納付書による支払いをしなくても、銀行口座から納税ができるために非常に便利なところもあり導入をお勧めしています。
ダイレクト納付とネットバンキングによる納付の違い
よく誤解をされているのが、ネットバンキングを使っているけれど税金をネットバンキングから支払う際には、ダイレクト納付の手続きが必要だと思われている方がいらっしゃるのですがこれは間違いです。
ダイレクト納付はネットバンキングを契約されていないお客様でも、手続きにより口座から指定日に税金を支払うことができる振替納税のシステムです。
従ってネットバンキングをされている法人の方は、ダイレクト納付の手続きをされていなくてもe-taxの手続きをされていれば、ネットバンキングによる納付ができます。
ただ期日指定ができないので、資金繰りや仕事のスケジュールの関係であらかじめ納付手続きをされたい方は、ダイレクト納付の手続きを合わせてされることをおすすめいたします。
ダイレクト納付のメリット
- 納付手続が簡単(電子申告等の後、簡単な操作で納付手続が完了)。
- インターネットバンキングの契約が不要。
- 即時又は期日を指定して納付することが可能。
- 税理士が納税者に代わって納付手続を行うことが可能。(注)
(注) 納税者本人の納税用確認番号等を登録しておくことが必要です。
国税のダイレクト納付
ダイレクト納付の開始手続き
では、その開始の手続きについて確認します。
1. e-Taxの利用開始手続
事前にe-Taxの利用開始手続をしてください。
2. 電子証明書の登録
申告等データが利用者本人の作成したものであることを確認するための電子証明書を登録します。
e-Taxで所得税徴収高計算書、納付情報登録依頼及び納税証明書(署名省略分)のみを利用する方は不要です。
3. 納税用確認番号等の登録(1の開始届出書の送信時に登録された方は不要)
e-Taxの利用開始手続時からダイレクト納付の利用までに、「納税用確認番号及び納税用カナ氏名・名称の登録」(必須)及び「メールアドレスの登録」をします。
4. ダイレクト納付届出書の提出
ダイレクト納付をご利用される日の約1ヶ月前までに、「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」を作成の上、納税地を所轄する税務署へ書面で提出します。
作成、提出していただく届出書は次のとおりです。
- 【入力用】国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書(PDF/590 KB)
- 【手書用】国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書(PDF/154 KB)
- 【記載要領 個人納税者用】(PDF/351KB)
- 【記載要領 法人納税者用】(PDF/358KB)
- ※ ゆうちょ銀行をご利用の方へ(記号番号記載時の注意事項)(PDF/98 KB)
4. ダイレクト納付利用可能のお知らせの確認
税務署及び金融機関において所定の登録作業等が完了すると、e-Taxのメッセージボックスに登録完了メッセージが届き、ダイレクト納付が利用可能となります。メッセージボックスをご確認ください(e-Taxホームページ)。
ダイレクト納付による納税の手続き
実際の納税の手続きの方法です。
- 申告書をe-Taxにより提出するとメッセージ詳細が送られてきますので、「ダイレクト納付」をクリック
- 「今すぐ納付を行う」か「期日を指定して納付を行う」のどちらかをチェック
(ここでは「期日を指定して納付を行う」を選択した場合について説明します。 - 納付日を指定
- 「OK」をクリック→これで送信されます。
- 確認メッセージ表示で「はい」をクリック
- 納付日が正しく指定されていることを確認
- 納付日にメッセージボックスにダイレクト納付の完了通知が届くので、そのメッセージを選択し結果を確認
エラーの場合もあるので、その場合はそのエラーの内容を確認します。必ず期限内に納付がされているかメッセージボックスを確認しましょう。
地方税のダイレクト納付
地方税の電子申告システムにeLTAXがありますが、このシステムでは国税のダイレクト納付のような振替納税のシステムはありません。
eLTAXのシステムは、税理士が代行して納付情報は作成できます(ここまではe-Taxと同じ)が、実際の納付の作業は納税者本人がPay-easyを利用してインターネットバンキングやモバイルバンキング、ATMから納付することとなります。
地方税の納付方法
ネットバンキングを利用されていない方や経理処理などを会計事務所に委託されている方で、ネットバンキングの情報を他の方にお知らせできない方は、従来どおりの方法で納付書を作成し金融機関での支払いとなります。
せっかく国税が納税者の負担なく納税ができる方法を確立しているのに、地方税がそれに同調してくれないことには納税者に負担を強いるばかりです。
縦型行政だから仕方ないのではなく、これこそ財務省と総務省が一体となって納税者本位で地方税のダイレクト納付の実現に向けて制度を整えてほしいと思います。
編集後記
税務署は行政の電子化の一環としてダイレクト納付を勧めていますが、なかなか普及していないのが現状のようです。