法人にかかる消費税の申告期限の延長の特例
法人税については、申告期限の延長の特例が認められていますが、消費税については申告期限の延長が認められていません。
令和2年度の税制改正により、この「法人税の申告期限の延長の特例」の適用を受ける法人が、届出書を提出した場合には、その提出日の属する事業年度に係る課税期間の消費税の確定申告の期限が1月延長されます。
「消費税申告期限延長届出書」の提出時期
普通法人:消費税の確定申告の期限の延長特例の適用を受けようとする事業年度終了の日の属する課税期間の末日までに提出
連結親法人または連結子法人:消費税の確定申告の期限の延長特例の適用を受けようとする連結事業年度終了の日の翌日から45日以内に提出
適用時期
令和3年3月31日以後に終了する事業年度に係る課税期間から適用です。
つまり、3月決算であれば進行期である来年の3月決算から適用することができます。
12月決算の法人は翌期となる来年12月決算からとなります。
消費税の納付時期
法人税の申告期限の延長と同様、納付について、申告書の提出同様1月延ばした場合には、本税に加え利子税も納付しなければなりません。
したがって、決算日から2カ月以内に仮の税額でも構わないので、申告よりも先に納めておくと利子税の節約ができます。
中間申告の取り扱い
消費税の中間申告は、その確定申告の納税額により1回から11回まで規定されています。
今回の改正は、確定申告のみの規定ですので、中間申告の申告・納付期限は延長されません。
課税期間を短縮している場合
消費税の申告については、申告する期間を課税期間と言いますが、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出すると、この課税期間を3月または1月ごとに区分した期間に短縮することができます。
その場合、その3月または1月の期間に係る申告は確定申告となりますが、今回の申告期限の延長の特例措置は事業年度終了の日に係る申告のみ延長が認められ、その短縮された課税期間に係る申告の期限の延長は認めれていませんので、ご注意下さい。
「国、地方公共団体に準ずる法人の申告期限の特例」の適用を受けている法人
消費税法別表第三に掲げる法人のうち、
・法令によりその決算を完結する日が会計年度の末日の翌日以後2月以上経過した日と定められていること
・その他特別な事情があること
等に該当する法人は、「消費税法別表第三に掲げる法人に係る申告書の提出期限の特例の承認申請書」を提出することにより、申告期限の延長が認められています。
したがって、今回の措置からは「国、地方公共団体に準ずる法人」はこの申告期限の特例の適用は受けられないこととなっています。
「国、地方公共団体に準ずる法人」とは
一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、宗教法人など、消費税法別表第三に規定する公益に帰する割合が高い法人が該当します。
連結子法人の取り扱い
「法人税の申告期限の延長の特例」の適用を受ける連結親法人又はその連結子法人が「消費税申告期限延長届出書」を提出した場合にも、その 提出をした日属する連結事業年度以後の各連結事業年度終了の日の属する課税期間に係る消費税の確定申告の期限を1月延長されます。
連結親法人または連結子法人はその連結事業年度終了の日の翌日から45日以内に「消費税申告期限延長届出書」を提出できることとなっていますので、その提出した場合のその連結事業年度も対象となります。