消費税の納税義務
消費税は間接税です。
間接税とは税の負担者が直接税務署に申告納税するのではなく、税を預けた事業者が代わりに申告納税します。事業者は毎決算期ごとに法人税や所得税の申告と合わせて消費税を申告納付します。
その申告納税額の計算方法はざっくり言うと
申告納税額=(預かった消費税)ー(支払った消費税 )
となります。
預かった消費税とは商品などの売上とともに付加されたもの、支払った消費税とは仕入商品や経費を支払ったときに付加されたものを言います。
消費税はすべての事業者が申告納税するわけではありません。基準期間(法人の場合前々事業年度、個人の場合前々年)の消費税が課税された売上高(これを「課税売上高」と言います)が1,000万円以下の場合は消費税を納めなくてもよいこととなっています。
平成23年度改正
平成23年度の税制改正においてこの点について改正があり、平成25年から基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(個人の場合は前年の1月から6月まで、法人の場合は原則前事業年度の最初の6ヶ月間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合はその年もしくはその課税期間から消費税を納める義務が生じます。
この1,000万円の判定は、課税売上高に代えて給与等の支払額の合計額により判定することもできます。
決算期を変更した場合
法人で決算期を変更した場合、1年に満たない課税期間が生じます。その場合の基準期間はどうなるかと言いますと、消費税法第2条第1項第14号のかっこ書きに「前々事業年度が1年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間」とあります。
例えば9月決算であった法人の決算期を平成30年から3月に代えた場合、平成29年10月1日から平成30年3月31日までの期間が1事業年度となります。
この事業年度の基準期間は平成29年10月1日の2年前の日、平成27年10月1日から平成28年9月30日までの間に開始した事業年度となります。
つまり平成27年10月1日から平成28年9月30日の事業年度が基準期間です。
では平成30年4月1日から平成31年3月31日までの事業年度の基準期間はどうなるでしょうか。
平成30年4月1日の2年前の日の平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始した事業年度ですから平成28年10月1日から平成29年9月30日までの事業年度がそれにあたります。
その期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで納税義務があるかないかを判定します。
また特定期間を考慮しなければなりません。
前事業年度が短期事業年度となる法人で前々事業年度がある場合は、原則として特定期間は前々事業年度開始の日以後6か月の期間となります。
ただし、前々事業年度がその事業年度の基準期間となる場合は特定期間とはなりません。
つまり、平成28年10月1日から平成29年9月30日までの期間の課税売上高が1,000万円以下の場合は、平成30年4月1日からの事業年度の納税義務はないということになります。
=編集後記=
消費税は届出書との闘いです。
不必要な届出書が税務署に提出されていたり、必要な届出書を提出し忘れたりすると損失が発生しますのでご注意ください。