相続税の総額の計算方法

相続・贈与に関するもの

相続税の総額の計算方法

相続税は、被相続人の遺産(各相続人等が取得した財産の額を合計したもの)に係る相続税の総額をはじめに計算し、その相続税の総額を各相続人等が取得した財産の割合に応じて按分し、各相続人等が納付すべき相続税額を算出方法により計算します。

相続税の総額の計算方法

相続税の総額の計算方法は以下の順番で計算します。

(1)各相続人等の課税価格の計算
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人ごと各人の課税価格を計算します。

(2)課税遺産総額の計算
課税遺産総額は、上記イで計算した各人の課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を差し引いて計算します。

(3)相続税の総額の計算
①法定相続分に按分
相続税の総額の計算は、まず、相続人等が遺産を実際にどのように分割したかに関係なく、「法定相続人の数」に算入された相続人が上記ロの課税遺産総額を法定相続分に応じて取得したものと仮定し、各人ごとの取得金額を計算します。

②相続税率を掛ける
この各人ごとの取得金額にそれぞれ相続税の税率を掛けた金額(法定相続分に応じる税額)を計算します。

③相続税額の総額
その各人ごとの金額を合計します。この合計した金額を相続税の総額といいます。
配偶者と子2人を相続人とした場合の例

 

相続税の速算表

各相続人の法定相続分の応じた課税価格に乗じる相続税率は以下のとおりです。

 

法定相続人の数

法定相続人の数」は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
また、被相続人に養子がある場合には、この「法定相続人の数」に含める養子の数については、次のそれぞれに掲げる人数までとなります。
  被相続人に実子がある場合 ・・・1人
  被相続人に実子がない場合 ・・・2人

法定相続分」とは、民法の規定による法定相続分(民法900)及び代襲相続人の相続分(民法901)をいいます。

計算例

被相続人の相続人は配偶者、子A、子Bです。

(1)各相続人等の課税価格の計算 
各相続人が取得した被相続人の遺産の課税価格は下記のとおりとします。
  配偶者:1億2千万円
  子A  :8千万円
  子B  :5千万円

(2)課税遺産の総額の計算
   課税遺産の総額:(1億2千万円+8千万円+5千万円)-(3,000万円+600万円×3人)=2億2百万円

(3)相続税の総額の計算
  ①法定相続分に按分
    配偶者:2億2百万円×1/2=1億1百万円
    子A  :2億2百万円×1/4=5,050万円
    子B  :2億2百万円×1/4=5,050万円
  ②相続税率を掛ける
    配偶者:1億1百万円×40%-1,700万円=2,340万円
    子A  :5,050万円×30%-700万円=815万円
    子B  :5,050万円×30%-700万円=815万円
  ③相続税の総額
    2,340万円+815万円+815万円=3,970万円

 

この相続税の総額に各相続人の取得割合を掛けて各相続人の納付すべき相続税額を算出します。
これについては次回に記します。