個人で開業した場合
個人の方が事業を始めた場合は、開業してから1月以内に税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」に開業日等を記載し提出します。
この「個人事業の開業・廃業等届出書」に記載した日が個人の方の開業した日となります。
開業した場合に税務署に提出した方がよい書類は以下の通りです。
- 「個人事業の開業・廃業等届出書」
- 「青色申告の承認申請書」
- 「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」(給与を支払う場合)
- 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」(給与の源泉所得税を半年に1回納付する場合)
ところで、
この「個人事業の開業・廃業等届出書」に記載した開業日の前日までに、その事業を開業するために費用を支出していた場合、その費用はどのように処理されるでしょうか。
開業前に支出した費用
開業前に支出した費用には以下のものが考えられます。
- 店舗や事務所の立地などの調査費用
- 店舗や事務所を借りるための敷金(保証金)、礼金、家賃等
- 店舗や事務所に設置する備品等
- 販売する商品の仕入代金
- 従業員や専従者へ支給した給料等
- その他の費用
下記の「開業費に該当しないもの」を除き、これらは「開業費」として繰延資産に一旦資産計上します。
開業費に該当しないもの
しかし、個人事業者の場合であっても「開業費」に該当しないものがあります。
- 店舗や事務所を借りる際の敷金(保証金)、礼金
- 販売する商品の仕入代金
店舗や事務所を借りる際の敷金(保証金)は、その店舗や事務所を出ていく際に戻ってくるものですから、「敷金」や「保証金」といった科目で資産に計上します。
販売する商品の仕入代金は、売上原価として処理されることになりますから、「仕入」として処理します。
経費処理する方法
繰り返しますが、
開業前に支出した「開業費」は開業日に繰延資産として、資産に計上します。
そしてその年以降の決算整理で、「繰延資産償却」または「開業費償却」として費用に計上できます。
費用計上する上での注意点は、
- 費用計上できる金額は、「開業費」相当額
- 所得(=利益)が出ているのであれば費用計上
- 所得(=利益)が出ていない場合は費用計上については見逃し
- 翌年度以降所得が出ている年に費用計上することも可能
などが挙げられます。