駐車場として土地を貸し付けている場合の確定申告

所得に関するもの

自分の土地を駐車場として貸付けている場合は不動産所得

日本に居住している方は1月1日から12月31日までの収入を計算して確定申告をしなければなりません。もしも自分で所有している不動産を他人に貸し付けて収入を得ている場合には、その収入金額を確定申告する際には何所得になるのでしょうか。雑所得、事業所得それとも不動産所得のどれになるんだろうと迷われる方もいらっしゃると思いますが、一般的な駐車場の貸付は不動産所得となります。

不動産所得は、
 不動産所得=不動産収入ー必要経費
の計算式で計算します。

ただしいわゆる有料駐車場、有料自転車置場等を設置して、自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得又は雑所得に該当します。

この場合における「自己の責任において他人の物を保管する」とは、施設の管理者を置き利用者の自動車の出入を管理している場合や不特定多数の客から時間の長短に応じて定めた料金を収受している場合などが考えられ、物品預りとしての性格が強いものを言います。

しかし「自己の責任において他人の物を管理」して、駐車場を貸す方はほとんどいらっしゃらないと考えられるため、駐車場の貸付けは不動産所得として計算する方が多いと思われます。

 

事業的規模になる場合

建物の貸付けには、事業的規模はいわゆる「5棟10室」という基準があります。

これは一軒家の場合は5棟以上、アパートやマンションの場合は10室以上貸している場合のことをいいます。

駐車場の貸付けの場合は、賃料等を勘案して事業的規模かどうかを判断することになりますが、「おおむね5台」を一室として、駐車場の貸付けのみであれば50台を超えれば事業的規模して不動産所得を計算することができます。

事業的規模とした場合の所得金額の計算

不動産所得を計算する上で、事業的規模かどうかで所得金額の計算方法が以下の点で異なります。

  1. 賃貸用固定資産の取壊し除却などの資産損失については、不動産の貸付けが事業として行われている場合はその全額を必要経費に算入します。しかしそれ以外の場合はその年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されます。
  2. 賃貸料等の回収不能による貸倒損失については、不動産貸付けが事業として行われている場合は回収不能となった年分の必要経費に算入しますが、それ以外の場合は収入に計上した年分までさかのぼってその回収不能に対応する所得がなかったものとして所得金額の計算をやり直します。
  3. 青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従者控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合は適用がありますが、それ以外の場合には適用がありません。
  4. 青色申告特別控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合には、正規の簿記の原則による記帳をおこなうなどの一定の要件を満たすことにより最高65万円が控除を適用できますが、それ以外の場合は最高10万円となります。

 

必要経費になるもの

駐車場の収入を得るために要した費用は必要経費になります。具体的には下記のものが考えられます。

  1. 固定資産税等
  2. 消費税等(納めている場合)
  3. 事業税(納めている場合)
  4. 駐車場設備の修繕
  5. アスファルトの敷設など減価償却資産として計上したものの減価償却費
  6. 借入金の返済利息(駐車場設備などを支払うために借り入れた場合)
  7. 電話代(家事按分が必要な場合あり)
  8. 専従者給与(事業的規模の場合)
  9. その他の費用

砂利の駐車場の場合には、新たに砂利を敷く場合があります。結構な費用が掛かる場合には修繕費としては計上できずに減価償却資産として計上し、減価償却費として耐用年数に応じて減価償却費用計上しなければならない場合がありますので、ご注意ください。