改正前の制度
日本に住所がある方(居住者)が結婚している場合、その方の配偶者の所得が38万円以下であれば、居住者の所得から38万円(老人控除対象配偶者の場合は48万円)が控除されるという制度です。
所得が38万円以下とは、それぞれ給与の場合は103万円、年金の場合は65歳未満で108万円、65歳以上で158万円以下となります。
また、居住者の所得が1000万円以下であれば、配偶者の所得が76万円以下ですと配偶者特別控除として配偶者の所得に応じて一定の金額が控除されます。
給与収入103万円の壁と言われる配偶者の所得制限をなくそうという事から平成29年度税制改正において配偶者控除の制度が改正されました。
改正内容
平成29年度税制改正の際、配偶者控除がなくなる、なくならないと新聞記事などでよく見かけましたが、所得が高い方については廃止、所得がそれほど高くない方については基本的に存続となりました。
具体的には、
所得が1000万円を超える方については配偶者控除が受けらなくなり、配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得が38万円から123万円以下となりました。
https://www.nta.go.jp/gensen/haigusya/pdf/01.pdf
これにより、居住者の所得が900万円以下の場合、配偶者の給与収入が150万円までであれば居住者の所得からの38万円控除が受けられます。
扶養親族の数え方も変わります。
居住者の所得が900万円以下の場合、配偶者の給与収入が123万円以下の場合は1人と数えますが、居住者の所得が900万円超の場合や900万円以下であっても配偶者の給与収入が150万円以上の場合は0人となります。
平成30年1月分のお給料から、差し引かれる源泉所得税の扶養親族の人数の数え方が上記のような数え方になります。
扶養控除申告書等
平成29年分の年末調整の際は、扶養控除申告書は平成30年分を、保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書は平成29年分を勤務先に提出します。
扶養控除申告書については平成30年分の記載内容も変わりました。
今まで控除対象配偶者として記載していた欄が「源泉控除対象配偶者」と変更になりました。
この欄に記載できるのは給与所得者本人の所得金額が900万円以下の方、配偶者の所得が85万円以下(給与収入150万円以下)に限られます。
保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書については平成29年分は変更はありません。
平成30年分についてはまだ正式発表はありませんが、配偶者控除等申告書と保険料控除申告書に分ける案が既に国税庁ホームページに発表されていますので、来年からは扶養控除申告書、配偶者控除等申告書、保険料控除申告書の3枚になる可能性が高いです。
=編集後記=
配偶者控除については、これからも税制改正の検討課題に毎年挙がると思われます。
アメリカでは夫婦で1つの申告書を提出できる制度になっていますので、夫婦控除という制度がありますが、これも導入しようという記事は昨年の税制改正が決まるまでは結構載ってました。
どれがいいのかというのはコメントしませんが、いずれにせよ高所得者からは税金を取ろうという傾向は今後も続くと思われます。