「所得から差し引かれる金額」の留意点②

所得に関するもの

生命保険料控除

生命保険料控除は、保険会社に生命保険、介護医療保険と個人年金保険の保険料を支払ったときに最大12万円を所得から控除するものです。

平成22年の税制改正により、平成24年分から生命保険と個人年金保険は契約日により新制度と旧制度に分かれ、新たに介護医療保険についても控除が認められました。

しかし、これが計算をややこしくしていて、分かりにくくなっているのは事実です。

生命保険と個人年金保険については、旧制度のみの場合はそれぞれ最大5万円の控除。
介護医療保険も含めた新制度のみの場合はそれぞれ最大4万円の控除。
生命保険と個人年金保険について、旧制度と新制度両方ある場合は最大4万円の控除。
この計算式によりそれぞれ控除額を計算しますが、すべて合計して12万円を超えた場合は最大12万円の控除となります。

保険会社等から送られてくる控除証明書には「新制度」か「旧制度」かが明記されており、それぞれどの控除が取れるのか一目瞭然となっています。

この生命保険料控除ですが、例えば契約者が妻名義となっていても実際に支払っているのは夫である場合は夫と妻は通常生計が一(お財布が一緒)なので、夫の生命保険料控除として所得から差し引くことができます。

サラリーマン等で、年末調整時に生命保険料控除証明書を提出し忘れた場合は、確定申告をすることにより生命保険料控除を受けることができます。

地震保険料控除

自宅等に地震保険をかけている場合、地震保険料控除が受けられます。
支払金額を控除額とすることができますが、控除額は最大5万円です。

地震保険料控除は平成18年の改正により平成19年分から新設され、その際それまでの短期損害保険料控除は廃止されました。

自宅等への火災保険について確定申告の際、控除できないかと質問してくる方がいらっしゃいますが、控除することができなくなってから既に10年以上経過しています。

短期損害保険料控除はなくなりましたが、JA共済の建物更生共済などが該当する「長期損害保険料控除」は経過措置として

平成18年12月31日までに締結した契約
②満期返戻金のあるもので保険期間が10年以上
③平成19年1月1日以降に契約の変更をしていないもの

については、地震保険料控除の対象とすることができます

経過措置としての旧長期損害保険料に係る控除額は1万5千円。
地震保険と合わせて最大5万円の控除をすることができます。

ただし、一の契約(控除証明書)で地震保険料控除の分と旧長期損害保険料の両方が記載されている場合はどちらか一方しか選択できませんのでご注意ください。

寄附金控除

最近はふるさと納税などで、寄附金控除を受ける方が大変増えてきたように思います。

私自身もふるさと納税をしており、またお客様にもふるさと納税を勧めています。

このふるさと納税などの寄付金については、2千円を超える部分が寄付金控除の対象となります。

寄付金控除を受ける場合は、寄付をした先から寄付をしたこと証明する書類を確定申告書に添付しなければなりません。

一方で、政党や認定NPO法人、公益社団法人等に寄付した場合は、
寄付金控除(所得控除)の適用を受ける
寄附金特別控除(税額控除)の適用を受ける
のどちらか有利な方を選択することができます。

税額控除される金額は
政党に寄付した場合・・・(寄付金額-2千円)×30%
認定NPO法人に寄付した場合・・・(寄付金額-2千円)×40%
公益社団法人等に寄付した場合・・・(寄付金額-2千円)×40%

この場合の控除の限度額は所得金額の40%相当額になります。

 

=編集後記=
最近、家族の分も支払っているが控除することができるかという質問が多いです。
所得から差し引かれる金額は名義はともかく支出した人から控除します。
ご家族の分も支払っている場合はその分も控除の対象とすることができます。