寡夫・寡婦控除
寡夫控除
寡夫とは、妻と死別または離婚して再婚していない男性のことを言います。
税務上、本人が27万円の寡夫控除の適用を受ける場合は、以下の3つの要件全てを満たす必要があります。
- 合計所得金額が500万円以下であること。
- 妻と死別し若しくは離婚した後婚姻をしていないこと、又は妻の生死が明らかでない等の人であること。
- 生計を一にする「子」がいること。
この場合の「子」とは、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
男性が寡夫控除を適用するには、要件が女性よりも厳しくなっています。
寡婦控除
寡婦とは、夫と死別または離婚して再婚していない女性のことを言います。
税務上、本人が27万円の寡婦控除の適用を受ける場合は、以下の3つの要件いずれかを満たす必要があります。
- 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下であること。
- 夫と死別し若しくは離婚した後婚姻をしていないこと、又は夫の生死が明らかでない等の人で、扶養親族がいること又は生計を一にする「子」がいること。
この場合の「子」は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
寡夫控除との違いは、
・寡夫控除は要件全て満たす必要があるのに対し、寡婦控除は2つの要件どちらかを満たせばよい点
・寡夫控除は年収と扶養親族両方の要件を満たす必要があるのに対し、寡婦控除は扶養親族がいる場合は年収の要件がなく、また年収が500万円以下の場合は扶養親族の要件がありません。
寡婦の方で、寡夫控除の要件を満たす方は「特別の寡婦」として35万円の控除が受けられます。
勤労学生・障害者控除
勤労学生控除
学生本人が確定申告をする場合、次の要件全てを満たすと27万円の勤労学生控除が受けられます。
- 勤労による所得があること
- 合計所得金額が65万円以下で、かつ1の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること。
- 学校の学生、生徒であること
2の要件について、例えば給料が年間120万円、株式を所有していることによる配当収入が10万円であれば要件を満たします。
障害者控除
本人または配偶者、扶養親族に障害者の方がいる場合、障害者控除が受けられます。
通常の障害者控除は27万円ですが、身体障害者手帳に1級または2級の記載がある方、精神障害者手帳に1級の記載がある方は特別障害者となり40万円控除、扶養親族などに特別障害者の方がいて同居している場合は75万円の控除が受けられます。
配偶者(特別)控除
配偶者控除
平成29年分の確定申告については、まだ税制改正の適用にはなりませんので今まで通りの要件となります。
38万円の配偶者控除を受ける場合は、以下の全ての要件を満たす必要があります。
- 民法の規定による配偶者であること(内縁関係はダメ)。
- 本人と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
70歳以上の配偶者の場合の配偶者控除の額は48万円です。
配偶者特別控除
配偶者控除の適用がない方で、本人の合計所得金額が1,000万円以下であり、かつ、配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満である方については、配偶者特別控除の適用を受けることができます。
配偶者特別控除額は最高で、38万円ですが配偶者の合計所得金額が増えると控除額が少なくなっていきます。
扶養控除
本人の親族で、配偶者控除の要件のうち2から4の要件を満たす場合は扶養控除が受けられます。
一般の扶養親族の控除額は38万円
19歳から23歳までの扶養親族の控除額は53万円
70歳以上の扶養親族の控除額は48万円、同居の場合は58万円の控除がそれぞれ受けられます。
=編集後記=
先日、障害者控除を受けたいが勤務先に知られたくないけどどうすればよいかという質問を受けました。
勤務先が住民税について給与から特別徴収しているのであれば明細が勤務先に送られますからバレる可能性はあります。
寡夫控除と障害者控除は、申告したくないものからもしれませんが節税のためには是非とも申告していただきたいと思っています。