特定口座の年間取引報告書の内容を申告しても住民税と国民健康保険料が高くならない方法とは?

所得に関するもの

特定口座に係る確定申告不要制度

証券会社等に特定口座を開設した場合に、その特定口座内における上場株式等の譲渡による譲渡所得等の金額については、特定口座外で譲渡した他の株式等の譲渡による所得と区分して計算します。

この場合、特定口座内で生じた譲渡益等に対して源泉徴収することを選択した場合には、その特定口座における上場株式等の譲渡による所得は原則として、確定申告は不要です。

 

医療費控除や寄付金控除を受けるために確定申告書を提出する場合であっても、特定口座における上場株式等の譲渡による所得については、確定申告書に記載しないことができます。
(他の確定申告不要制度があるものについては確定申告書を提出する場合は記載が必要です。)

 

これに対し、
一般口座での取引や特定口座内で生じた譲渡益等に対し源泉徴収をしない選択をした場合は、確定申告をする必要があります。

 

上場株式に係る住民税の申告不要制度

所得税の確定申告書において、証券会社等の特定口座における上場株式等の配当所得や上場株式等の譲渡に係る所得を申告した場合は、個人住民税も同様にその課税方式が適用されていましたが、平成29年度の税制改正において、「所得税と住民税の申告の課税方式が異なる申告をすることができる」ことが明確化されました。

 

これにより、当該所得を「所得税では分離課税または総合課税で申告した場合においても、個人住民税では申告しない」という選択が可能になりました。

 

年間取引報告書の内容を申告しても住民税と国保が高くならない方法

結論から申し上げますと、確定申告書を税務署に提出の上、住民税(市県民税)の申告書をお住いの市区町村に提出し、その際、上場株式の譲渡所得や配当所得について、住民税(市県民税)申告書に記載しない旨(各市区町村によりその方法は異なります。)を記載することにより、住民税の所得を計算する際、株式に係る所得は計算されないため、住民税と国民健康保険料は高くなりません。

 

前年に株式の譲渡損を翌年以降に繰り越す申告をした場合で、翌年株式の譲渡益が発生し源泉所得税が徴収されているときは、

  1. 確定申告をすることにより、源泉所得税の還付を受ける
  2. 住民税(市県民税)の申告書を各市区町村に提出し、上場株式について申告不要制度の適用を受ける

ことにより、所得税は還付を受け、住民税と国民健康保険料は高くならずに済みます。

 

確定申告書と住民税(市県民税)の申告書の両方を作成し提出するという手間がかかる作業ではありますが、上場株式の所得を確定申告する場合で、住民税の申告をしなければ国民健康保険料が驚きの高さで徴収されることがありますので、住民税の申告もご一考ください。

(社会保険に加入されている方はご放念ください。)