マイホームを賃貸するとき
地方への転勤などによりマイホームに住めなった場合、マイホームを売却するのではなく、賃貸する方もいらっしゃると思います。
従来は給与所得のみで年末調整をすることにより確定申告は不要となっていた方でも、マイホームを賃貸した場合、賃貸している期間のみ不動産所得と給与所得を合算して確定申告することになります。
不動産所得があるということは、不動産賃貸料として収入があり、また必要経費があることとなります。
不動産賃貸料は収入金額そのままですが、必要経費はどのようなものがあるでしょうか。
①租税公課
固定資産税。マイホームを賃貸するだけの場合、事業税はかかりません。
②損害保険料
火災保険や地震保険が該当します。
③減価償却費
建物の取得価額相当額を法定耐用年数の年数に渡り、費用を計上していきます。
④修繕費
大家になると、賃貸物件で故障があると直さなくてはいけません。
⑤借入金利息
賃貸する前まで住宅ローン控除の適用を受けたいた場合、賃貸している期間は不動産所得の借入金利息という科目に利息分を計上します。
返済する元本については費用になりません。
⑥管理費
遠方の場合、不動産会社等に管理をお願いすることが多いですが、その際管理料を不動産会社に支払います。
⑦交通費
不動産会社等との打ち合わせや、物件を見に行く際の交通費は計上できますが、プライベートの部分がある場合は按分が必要です。
⑧通信費
不動産会社等との電話や、インターネットでの物件の確認などをすることにより計上できます。この場合もプライベートの部分がある場合は按分が必要です。
その他、不動産収入を得るために費やしたお金は費用になりますので、適宜適当な科目を使用し経費を計上します。
青色申告の承認申請書を税務署に提出している場合は青色申告特別控除の10万円が経費になります。
賃貸不動産の取得価額
減価償却費は取得価額×償却率の計算式で計算します。
このときマイホームに数年住んだあとに賃貸した場合の取得価額はどのように取り扱うのでしょうか。
この場合、プライベートの個人と不動産賃貸業を行う個人は同一人物であるのは当たり前ですが、考え方として不動産賃貸業を行う個人がプライベートの個人から中古の建物を取得したと考えます。
プライベートの個人と不動産賃貸業を行う個人とでは建物の売買をしていませんので、中古の建物の価額は新規に取得した価額が減価償却により目減りしたと考えます。
新規に取得した時の価額×償却率×経過年数
の式により計算した減価償却相当額を新規に取得した時の価額から控除した価額が、中古の建物の取得価額となります。
償却率は法定耐用年数によりますが、中古資産を取得した場合は計算式があり、
法定耐用年数ー経過年数+(経過年数×20%)
の式により計算した耐用年数(1年未満切り捨て)により減価償却をしていくこととなります。
団信保険特約料の取り扱い
住宅ローンを組む際に、団信保険をかけることも多々あります。
団信保険とは、基本的には銀行と保険会社との間で契約する保険ですが、その一部である特約料を債務者本人が支払うことで万が一債務者が亡くなった場合でもその保険金により借入金が返済できます。
金融機関によっては、利息に含まれる場合があります。
フラット35では特約料を支払います。
この団信保険の特約料が不動産所得の必要経費になるかどうかですが、結論はなりません。
公益財団法人公庫団信サービス協会が事業で団信保険に入った際の特約料は個人の所得税の必要経費にはならないとホームページに謳っています。
=編集後記=
転勤等によりまた自宅に戻ってきた場合は、確定申告書に再び居住の用に供した方用の計算明細書を添付することにより、再度住宅ローン控除の適用を受けることができます。