7月10日より法務局で遺言書を保管してくれるようになります
令和2年6月28日の朝日新聞デジタルに下記の記事が掲載されました。
手書きの自筆証書遺言を法務局へ預けられる制度が7月に始まる。これまでは自宅などで自ら保管しなければならず、紛失や改ざんの恐れがあった。昨年は戦後最多の138万人が亡くなるなど相続が大量に起きる時代に入っており、遺言の使い勝手をよくして「争族」とも呼ばれる遺族間の紛争などを減らすねらい。
遺言は本人だけで書ける自筆証書と、法律の専門家の公証人とつくる公正証書の主に2方式ある。公正証書は内容の不備をなくせる一方で、手間と費用がかかる。自筆は手軽だがミスが起きやすく、遺族が見つけられなかったり、改ざんしたりする恐れもある。
このため、全国312の法務局が7月10日から1件3900円の手数料で預かる制度を始める。保管先は遺言者の住所地・本籍地・所有不動産のある地のいずれかの地域の局。本人が自ら出向いて手続きが必要で、1日に予約を始める。
現状、遺言書は自分で保管しなければならず、相続人に見つけてもらえないことも多々あります。
仮に、見つかったとしても家庭裁判所で検認手続きを経ないと正式な遺言とは認めてもらえず、「せっかく書いたのに意味なかった」ということも耳にします。
今回の制度では、法務局で遺言書の原本、もしくは画像データ化したものを保管してくれます。
(この場合、法務局を遺言書保管所と呼びます。)
保管時に正式な書式かどうかを見てくれますので、相続開始後の検認手続きが不要となりました。
遺言者の生存中は、本人が何回でも中身を確認でき、相続開始後は相続人に遺言書が保管されていることが通知されるため、見つけられなかったということもありません。
遺言者の申請等の手続き
法務局にする遺言書の保管申請の流れは下記の通りとなります。
- 自筆証書遺言を作成
- 保管申請する法務局の確認
- 保管申請書の作成
- 申請の予約
- 保管申請
- 保管証の受取り
保管申請書
保管申請書は以下の書類になります。
(法務省ホームページより)
申請書は5ページまであります。(5ページ目は印紙貼付用紙です。)
こちらからダウンロードできます。
記載例もありますので、ご参照ください。
4ページ目に通知をする相続人名を記載するようになっています。
申請時の持参書類
申請時には、以下の書類を持参します。
- 遺言書
- 申請書
- 住民票の写し
- 遺言書が英語の場合は日本語の翻訳文
- 運転免許証、マイナンバーカードなどの本人確認書類
- 手数料3,900円
遺言者本人による閲覧請求
遺言者本人であれば、遺言書を閲覧することができます。
その際は、
・本人確認書類(運転免許証などの顔写真つき身分証明書)
・手数料(モニター1,400円、原本1,700円)
を持参します。
相続人の手続き
相続開始(遺言者が死亡)後、法務局から遺言書が保管されている旨の通知が相続人に届きます。
相続人はどの法務局でも遺言書の内容の証明書である遺言書情報証明書の交付請求をすることができますが、その流れは以下の通りです。
- 交付請求する法務局(遺言書保管所)の決定
- 請求書の作成
- 請求の予約
- 遺言書の交付の請求
- 証明書の受取
請求書の添付書類
- 法定相続情報一覧図の写し
上記書類がない場合
- 遺言書の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
手数料
1通1,400円