相続とは
民法882条には「相続は、死亡によって開始する。」と定められており、また民法896条には「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。~中略~」と定められています。
このことから相続とは、人(被相続人)が亡くなったときに相続人がその被相続人の財産や債務などの権利義務を承継することを言います。
相続の開始
民法882条には「相続は、死亡によって開始する。」と定められていることは前述しました。
つまり、被相続人が亡くなったという事実があれば相続は開始され、被相続人が亡くなったことを知っていたかどうかを問わず、相続人は当然に被相続人の権利義務を承継することになります。
この被相続人が亡くなったという事実は、「失踪宣告」の制度により亡くなったと判断される場合も含まれます。
失踪には、普通失踪と危難失踪の2種類がありそれぞれ次の期間経過後生死が不明であった場合に家庭裁判所が利害関係人の請求により失踪の宣告をすることができます。(民法30条)
普通失踪 ・・・ 不在者の生死が7年間不明
危難失踪 ・・・ 戦争、船舶の沈没、震災などの危難に遭遇した者の生死が、それぞれの危難が去った後1年間不明
相続の効果
民法896条に「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」と定められています。
ここで注意すべきは、亡くなった人から承継するものはプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も承継するという点です。
マイナスの財産の承継は、「知らなかった」では済まされない場合がありますので、ご注意ください。
「一身に専属したもの」とは、その権利がその特定の人に専属し、他人が取得したり他人に移転できないものをいいます。
例えば、相続による譲渡禁止特約のあるゴルフ会員権、身元保証人の義務、医師、弁護士、税理士などの(国家)資格、年金受給権などが該当します。
相続開始の場所
民法883条には「相続は、被相続人の住所において開始する。」と定められています。
つまり、相続人の住所は関係なく、被相続人の住所により相続に関する訴訟や審判などの管轄裁判所が確定されます。
相続税の納税地も、当分の間は被相続人の住所とされており、その住所の所轄税務署長に相続税の申告書を提出することになります。