相続時精算課税制度を選択した場合の相続税の課税価格の計算
相続時精算課税適用者が被相続人から取得した相続時精算課税適用財産の価額は、相続税の課税価格に加算されます。
この場合の相続時精算課税適用財産の価額は相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額です。
なお、相続時精算課税適用者が、相続や遺贈によって財産を取得しなかった場合であっても、被相続人から取得した相続時精算課税適用財産は、相続又は遺贈により取得したものとみなされます。
相続時精算課税分の贈与税額控除
相続時精算課税適用者に相続時精算課税適用財産について課せられた贈与税がある場合には、その人の相続税額からその贈与税額(贈与税の外国税額控除前の税額です。)に相当する金額を控除します。
この場合の相続税額は、暦年課税の贈与税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除と外国税額控除を控除して赤字になる場合は「0」となり、「0」から相続時精算課税分の贈与税額を控除することになります。
なお、その金額を相続税額から控除する場合において、なお控除しきれない金額があるときは、その控除しきれない金額(相続時精算課税適用財産に係る贈与税について外国税額控除の適用を受けた場合には、その控除しきれない金額からその外国税額控除額を控除した残額)に相当する税額の還付を受けることができます。
この税額の還付を受けるためには、相続税の申告書を提出しなければなりません。
相続時精算課税制度を選択した場合の相続税の適用関係
相続時精算課税制度を選択した人に係る相続税の適用関係は以下の通りです。
相続又は遺贈により財産を取得した | 相続又は遺贈により財産を取得しなかった | |
課税価格 | 相続時精算課税の適用を受ける財産については、相続税の課税価格に加算します。 | 相続時精算課税の適用を受ける財産については、相続又は遺贈により取得したものとみなされます。 |
相続税の課税価格に加算される財産の価額は、贈与の時における価額によります。 | 相続税の課税価格に算入される財産の価額は、贈与の時における価額によります。 | |
債務控除 | 適用できます。 | |
基礎控除 | 適用できます。 | |
相続税額の2割加算 | 適用されます。 | |
相続開始前3年以内の贈与加算 | 適用されます。 ※ 相続時精算課税の適用を受ける財産については適用ありません。 | |
贈与税額控除 (暦年課税における贈与税額の控除) | 適用できます。 ※ 相続開始前3年以内の贈与加算の規定の適用を受けた財産がある場合(相続開始同年中の贈与を除きます)、当該財産に係る贈与税額については、相続開始前3年以内の贈与加算に係る贈与税額を控除することができます。 | |
未成年者控除 | 適用できます。 ※ 適用できる人は、未成年者である相続人の扶養義務者である相続人です。 | |
障害者控除 | 適用できます。 ※ 相続開始時において国内に住所を有しない人については適用ありません。 | |
相次相続控除 | 適用できます。 ※ 第二次相続に係る被相続人から相続により取得した財産の価額には、当該被相続人から相続時精算課税の適用を受けた財産の合計額を含みます。 | |
外国税額控除 | 適用できます。 | |
相続時精算課税における贈与税額の控除 | 適用できます。 ※ ただし、相続時精算課税の適用を受ける財産につき課せられた贈与税があるときは、控除する贈与税額は、外国税額控除の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額は除きます。 |
(国税庁ホームページより一部修正)