相続税とは
相続税は、亡くなった人(被相続人といいます)の財産を相続や遺贈、贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与(死因贈与)により取得した配偶者や子など(相続人といいます)に対して、その取得した財産の価額を基に課される税金です。
相続税の機能
財産が親から子等に移るだけなのに、なぜ税金がかかるのでしょうか。
これには様々な考え方があります。
所得税の補完機能
被相続人が生前において受けた社会及び経済上の要請に基づく税制上の特典、その他による負担の軽減などにより蓄積した財産を相続開始の時点で清算する、いわば所得税を補完する機能です。
相続税が課される財産は、所得税が課税された毎年の収入のうち、納税分を差し引いたものが含まれます。
つまり、所得税を節税し蓄積した財産に対して相続税を課税する機能があります。
富の再分配
これは相続税に限られた話ではありません。
が、相続税に限っては、相続により相続人等が得た偶然の富の増加に対し、その一部を税として徴収することで、相続した者としなかった者との間の財産保有状況の均衡を図り、併せて国民の間の富の格差を縮め、社会の安定化・公平な社会秩序を維持します。
相続税の課税方式
遺産課税方式
遺産課税方式とは、被相続人の遺産総額に応じて課税する方式です。
被相続人の所得税を補完する意義があり、作為的な遺産分割による租税の回避を防止しやすく、また、遺産分割のいかんに関係なく遺産の総額によって相続税の税額が定まります。
遺産取得課税方式
遺産取得課税方式とは、個々の相続人等が取得した遺産額に応じて課税する方式です。
個々の相続人等が相続した財産の価額に応じて、それぞれ超過累進税率が適用されるため、富の集中化の抑制に大きく貢献し、また、同一の被相続人から財産を取得した者間の取得財産額に応じた税負担の公平が期待できます。
現行の課税方式
日本の相続税の課税方式は、明治38年の相続税法創設以来、遺産課税方式とされていましたが、昭和25年に遺産取得課税方式に改められ、昭和33年には税額の計算に当たり遺産課税方式の要素が一部取り入れられ現在に至っています。
遺産取得課税方式には、各遺産取得者間の取得財産額に応じた税負担の公平を図りやすいという長所がある反面、仮装の遺産分割によって相続税の回避が図られやすいという難点がありました
そこで、昭和33年の改正では、遺産取得課税の建前を維持しつつ、各相続人等が相続等により取得した財産の合計を一旦法定相続分で分割したものと仮定して相続税の総額を算出し、それを実際の遺産の取得額に応じてあん分するという計算の仕組み(法定相続分課税方式)が導入されました。