相続税申告書を提出しなければならない場合、提出期限、提出先

相続・贈与に関するもの

相続税申告書の提出

被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者の財産及び相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の額の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超える場合は、相続税の申告書を提出しなければなりません
この場合の財産の額の合計額とは、被相続人の死亡前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産を含み、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例及び特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例を適用しない場合における課税価格の合計額をいいます。

また、被相続人の配偶者については、配偶者の税額軽減がないものとして税額計算を行った場合に、納付すべき相続税額が算出されるときは、相続税の申告書を提出しなければなりません。
つまり、配偶者の税額軽減を適用した場合、適用後の算出相続税額が零になるときであっても、相続税の申告書を提出しなければならないということです。

相続税に係る特例の中には、申告書の提出することにより適用できる「配偶者に対する相続税額の軽減」、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」などがあります。
このような規定の適用を受ける場合には、その規定の適用により納付すべき相続税額が零になる場合であっても、相続税の申告書を提出しなければ適用できませんので注意が必要です。

相続税申告書の提出期限

相続税の申告期限は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。
例えば、相続の開始があったことを知った日が平成30年6月25日とすると、申告期限は平成31年4月25日となります。
(注) 「相続の開始があったことを知った日」とは、自己のために相続の開始があったことを知った日をいうので、通常は被相続人の死亡の日をいい、
     例えば、相続開始後に認知の裁判が確定して相続人となった人については、その裁判の確定を知った日が、「相続の開始があったことを知った
         日」となります。

ただし、その人が、納税管理人の届出をしないで、国外に転出することとなるときは、その転出することとなる日までに提出しなければなりません。

相続税の申告書を提出しなければならない人が、申告書の提出期限前に、申告書を提出しないで死亡した場合には、その人の相続人及び包括受遺者は、その相続の開始(本来の提出義務者の死亡)があったことを知った日の翌日から10か月以内に、死亡した人に代わって相続税の申告書を提出しなければなりません。

また、民法958条の3⦅特別縁故者に対する相続財産の分与⦆の規定により被相続人の特別縁故者に相続財産法人に係る財産の全部又は一部が与えられたことにより、新たに申告書の提出要件に該当することとなったときは、財産を与えられたことを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告書を提出しなければならないこととなっています。

遺産が分割されていない場合

相続開始の日から10か月以内に相続財産が分割されていない場合であっても、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません

この場合、相続人等は民法の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って財産を取得したものとして相続税の計算をし、申告と納税を行います。
この未分割財産については、「配偶者の税額の軽減の特例」、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」などを適用することはできません。

その後、相続財産の分割が行われ、その分割に基づき計算した税額が申告額と異なることとなったときは、実際に分割した財産の額に基づいて修正申告又は更正の請求をすることができます

相続税申告書の提出先

相続税の申告書は、相続又は遺贈により財産を取得した人の納税地の所轄税務署長に提出することとされています。
しかし、当分の間は被相続人の死亡時における住所地が納税地とされており、相続税の申告書は被相続人の住所地を所轄する税務署長に提出することとなっています。

また、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した人で、相続税の申告をしなければならない者が2人以上ある場合は、共同して相続税の申告書を提出することができるとされていることから、一般的には共同して相続税の申告書を提出することになります。

相続税申告書の記載事項・添付書類

相続税の申告書には、
①課税価格
②相続税の総額の計算に関する事項
③納税義務者の住所、氏名
④被相続人の死亡の時における財産及び債務
⑤被相続人から相続人又は受遺者が相続又は遺贈により取得した財産又は承継した債務の各人ごとの明細
⑥その遺産を各相続人がどのように分割したか
などを記載した明細書を添付しなければならないこととされています。

配偶者の税額軽減の適用を受ける場合は、相続又は遺贈により取得することが確定した相続財産について、相続税の申告書を提出して初めて適用されることから、次の証明書等を添付しなければなりません。
① 遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し(印鑑証明書を添付)
② その他生命保険金や退職金の支払い通知書などの財産の取得状況の分かる書類