相続税の申告書の内容を訂正する必要がある場合

相続・贈与に関するもの

相続税の申告書の内容に誤りがあった場合

相続税は、他の税と同様に、納税義務の成立の時点である相続開始時の財産の価額を評価して税額を計算し、申告期限までに期限内申告書を提出する制度です。
しかし、相続税については、申告期限後に新たに生じた事情により、税額計算をし直さなければならないことが多々あります。

そこで、相続税法では、申告期限後に生じた事由に基づく申告、期限後申告、修正申告及び更正の請求の特則規定を置き、相続税額の変更等に関する手続を規定しています。

相続分などに異動があった場合(期限後申告)

相続開始から10か月以内に提出という期限内申告書の提出期限後において、次の事由が生じたことにより新たに申告書の提出要件に該当することとなった人は、期限後申告書を提出することができます。
 ① 共同相続人によって未分割財産の分割が行われ、課税価格が変動したこと
 ② 認知、推定相続人の廃除に関する裁判の確定、その他の事由により、相続人が異動したこと
 ③ 遺留分による減殺の請求に基づき返還又は弁償すべき額が確定したこと
 ④ 遺贈に関する遺言書が発見され、又は遺贈の放棄があったこと
 ⑤ 条件付で物納が許可された場合でその条件が成就されないために許可が取り消され、又は取り消されることとなるときに
   おいて、物納に充てた土地について、土壌が特定有害物質等により汚染されていること又は除去しなければ土地の通常
   の使用ができない廃棄物等が地下にあることが判明したこと
 ⑥ 相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産についての権利の帰属に関する訴えについての判決があったこと
 ⑦ 分割後の被認知者からの価額請求があったことにより弁済すべき額が確定したこと
 ⑧ 条件付の遺贈について、条件が成就したこと

少なく申告した場合(修正申告)

一般の修正申告書は、国税通則法の規定に従って提出することとなりますが、相続税法には、次のような修正申告の特則が設けられています。
 ① 相続税の期限後申告書を提出できる上記①から⑧までに掲げる事由が生じたことにより、既に確定した相続税額が不
   足した場合には、相続税の修正申告書を提出することができる

 ② 民法958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与)の規定により被相続人の特別縁故者に相続財産法人に
   係る財産の全部又は一部が与えられたことにより、既に確定した相続税額に不足を生じた場合には当該事由が生じた
   ことを知った日の翌日から10か月以内に相続税の修正申告書を提出しなければならない。

多く申告した場合(更正の請求)

次に掲げる事由により申告をした人や決定(税務署等がした処分)を受けた人の課税価格と相続税額が過大となった場合は、その事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内に限り更正の請求をすることができます。
 ① 上記「相続分などに異動があった場合(期限後申告)」の①から⑧までの事由
 ② 特別縁故者に対して相続財産法人に係る財産の分与があったこと
 ③ 遺産の分割が行われたことにより、配偶者について配偶者の税額軽減額が増加したこと

更正の請求に基づいて減額更正をした場合において、相続又は遺贈により財産を取得した他の人の相続税額が増加するときについては、修正申告しなければならないこととなっています。