相続税の課税価格に加算する贈与財産

相続・贈与に関するもの

相続時精算課税の適用贈与財産の相続税課税価格への加算

相続時精算課税は、贈与時に、贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより、贈与税・相続税を通じた納税を行う制度です。

したがって、相続時精算課税の選択を行った場合に、その贈与者が亡くなったときには、相続時精算課税を適用して贈与を受けた財産を相続財産に加算して相続税の計算を行います。
この計算の結果、相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告は必要ありません。

 

相続税の申告の必要がない場合でも、相続時精算課税を適用した財産について既に納めた贈与税がある場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。

相続又は遺贈により財産を取得した者である場合

相続又は遺贈により財産を取得した方の相続税の課税価格は、被相続人である特定贈与者から相続時精算課税の適用を受ける贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算した価額になります。(相法21の15①)

この場合、その財産の贈与時の価額を相続税の課税価格に加算します。(相基通21の15-2)

 相続又は遺贈により財産を取得しなかった者である場合

相続又は遺贈により財産を取得しなかった方については、相続時に財産を取得しなくても、被相続人である特定贈与者から相続時精算課税の適用を受ける贈与により取得した財産を、相続時に取得したものとみなして、相続税の課税価格を計算することとなっています。(相法21の16①)

この場合、贈与財産の贈与時の価額を相続税の課税価格に加算します。(相法21の16③)

 

相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産の相続税課税価格への加算

相続時に財産を取得した人が、被相続人からその死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算します。

※亡くなった日が9月10日の場合

(国税庁ホームページより)

 

これは、贈与税が相続税の補完税としての役割をもつ意味においては、課税された贈与税は、贈与者の相続開始に係る相続税の課税上精算される必要があり、その趣旨に基づき、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を相続税の課税価格に加算することとされているものです。

その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。

この場合において、
相続開始の年の被相続人から取得した贈与財産は、相続税の課税価格に加算しますが、その年分の贈与税の課税価格には算入しません
②被相続人から相続時に財産を取得した方に限り、贈与財産を加算するので、相続時に財産を取得しなかった方については、相続時精算課税以外の贈与により取得した財産は加算しません
③相続税の課税価格に加算した贈与財産の価額からは、債務控除はできないことになっています。

相続財産に加算する贈与財産

相続人から生前に贈与された財産のうち相続開始前3年以内に贈与されたものです。
3年以内であれば基礎控除額110万円以下の贈与財産も加算することになります。

相続財産に加算しない贈与財産

被相続人から生前に贈与された財産であっても、次の財産については加算する必要はありません。
(1) 贈与税の配偶者控除の特例を受けている又は受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額
(2) 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額
(3) 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額
(4) 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額