相続税関係の基本通達が改正されました(特別寄与料関係)

相続・贈与に関するもの

民法相続編の改正に伴う相続税関係の改正

令和元年7月1日より民法相続編の一部の改正項目が施行されることに伴い、税務の取り扱いについても基本通達の改正という形で国税庁から発表されました。

民法改正項目

<改正前>

相続人ではない親族(例えば被相続人の長男の妻)が被相続人の生前、介護や病気の看護などを行っていた場合であっても、相続人ではないため相続財産を取得することはできませんでした。

<改正後>

今回の改正で、その長男の妻などの相続人ではない親族が被相続人の生前に介護等を行っていた場合には、被相続人に対する介護等での貢献を認め、相続人に対し金銭の請求ができることとなりました。この金銭の請求のことを特別寄与料と言います。

相続税関係改正項目

特別寄与料の支払いを受けた特別寄与者が相続税の申告書を提出する場合の申告期限

特別寄与料については、相続人と特別寄与者(長男の妻など)で話し合いが調わないことが想定されます。

したがって、特別寄与料の支払いを受けた方の相続税の申告期限は、特別縁故者が相続財産法人から相続財産の分与を受けた場合と同様に、特別寄与料の支払いが確定した時から10か月以内とされ、その確定までは相当の期間を要することに留意することとされました。

特別寄与者が葬式費用を負担していた場合

相続人が葬式費用を負担した場合には、その負担した費用の額を相続税がかかる財産の価格から控除することができます。

特別寄与者(長男の妻など)が葬式費用を負担した場合においても、特別寄与料からその負担した葬式費用を控除できることとされました。

特別寄与者が被相続人から生前に贈与を受けていた場合

相続人が被相続人の生前、亡くなる前3年以内に贈与を受けていた場合には、その贈与を受けた財産は相続税の課税対象となります。
ただし、支払った贈与税がある場合にはその贈与税は相続税の前払いとなり納付すべき相続税額から控除されます。

特別寄与者(長男の妻)が被相続人が亡くなる前3年以内に贈与を受けていた場合においても、他の相続人と同様に、支払いを受けた特別寄与料の額にその3年以内に贈与を受けた財産の額を加算したものが相続税の課税対象となることとされました。

特別寄与料が国内財産か国外財産かの判定

特別寄与料が国内財産か国外財産かを判定する場合には、被相続人の住所で判定することとされました。

特別寄与料の額が特別寄与者の課税価格に算入されない場合

特別寄与者に特別寄与料を支払った相続人は、相続税を計算する上で相続財産の価格から支払った特別寄与料を控除することができます
(これは代償分割をした時と同じイメージです。)

しかし、特別寄与料が上記の財産の場所の判定において国外財産とされ、特別寄与者が日本に10年以上住んでいないなどの場合においては、この特別寄与料は日本の相続税がかからないこととなります。

この場合においては、特別寄与者に特別寄与料を支払った相続人からは、特別寄与料が控除できないこととされました。