贈与と贈与税について

相続・贈与に関するもの

贈与とは

贈与とは、
当事者一方(贈与者)自己の財産を無償にて相手方(受贈者)に与える意思表示をし、相手方(受贈者)が受諾することによって成立する契約です。(民法549)

贈与は、
財産の所有権が無償で移転する点は、相続や遺贈に類似しますが、相続は被相続人の死亡(相続開始)という事実の発生によりその効力が生じるのに対し、贈与は当事者間の契約によりその効力が生じます

 

つまり、被相続人が生前にあげたものか、死亡後かの違いだけでなく、贈与はもらったという意思表示が必要であるということです。

贈与の撤回

贈与は書面によることを要しませんが、書面によらない贈与は、既に履行した部分を除き、各当事者は、いつでもその契約を取り消すことができることとされています。(民法550)

つまり、口頭による贈与はいつでも取り消せるため贈与があったかどうかの証拠は残らないことになりますので、ご注意ください。

また、夫婦間の契約は、婚姻中は夫婦の一方からいつでも取り消すことができます。
ただし、第三者の権利を害することはできないこととされています。(民法754)

特殊な贈与

贈与の携帯として以下のものが民法において規定されています。

定期贈与(民法552):「毎年100万円ずつ10年間贈与する」というように、定期の給付を目的とする贈与。贈与者の死亡により終了する。

負担付き贈与(民法553):「不動産の贈与に当たり、その取得時の借入金の一部を負担させる」というように、受贈者に一定の給付をなすべき義務も負わせる贈与

死因贈与(民法554):「自分が死んだら、この家をやる」というように、財産を贈与する者が死亡したときに効力が生ずる贈与

贈与税

贈与税は、個人からの贈与により財産を取得した者に対して、その取得財産の価額に課される税金です。

相続又は遺贈により財産を取得した場合には相続税が課税されますが、もし、贈与税という税がなく、被相続人が生前、相続人となるべき配偶者や子供などに財産を贈与してしまったとしたら、相続税が課税されなかったり、課税されるとしても少ない負担で済んでしまい、生前に贈与した場合としなかった場合とでは、同額程度の財産を取得した者の間で税負担に不公平が生じることになります。

そこで、生前の贈与による取得財産には贈与税を課税することとされました。

このように、相続税の補完税と位置付けられていることから、相続税と贈与税は、相続税法に規定されています。

贈与税は相続税の補完税であることから、被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者については、相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算する制度(相法19)が設けられていいます。

また、一般的な贈与とは別の制度として、相続税と贈与税を一体化する仕組みを持つ相続時精算課税制度(相法21の9~18)が設けられています。