紀州のドン・ファンこと野崎幸助氏の不審死がワイドショーなどで大騒ぎです。
今回は野崎氏の相続税についてのお話をしてみようと思います。
妻の相続分
野崎氏の遺産はおよそ50億といわれているそうで、相続財産の課税価格から基礎控除を引いた金額が50億とすると、今回の相続人である妻と兄弟姉妹の相続税の総額はおよそ24億円弱となります。
野崎氏は結婚3回しているそうですが、子供がいなく相続人は妻と兄弟姉妹のみとのことです。
この場合の妻の法定相続分は4分の3。
実際に相続分4分の3を相続したとすると妻の相続税は18億円弱。
しかし配偶者については配偶者の税額軽減という制度があります。この制度により、法定相続分通り妻が遺産を相続すると妻が納付する相続税額は0円となります。
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(注) この制度の対象となる財産には、仮装又は隠蔽されていた財産は含まれません。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額
つまり、妻は37億5千万円までは無税で財産を承継することが可能です。
兄弟姉妹からするとたった3か月の結婚生活でこの財産を「横取り」されるのは腸が煮えくり返る思いなのかもしれません。
ここで、最近報道されているのが野崎氏から離婚を切り出されたという話。
離婚した場合、相続権は一切なくなりますから遺言で指定されていない限り財産を相続できないことになります。
愛犬イブに遺贈?
野崎氏には愛犬イブがおり、この愛犬も野崎氏が亡くなる20日ほど前にもがき苦しみ死んでいったとの報道があり、警察がイブの死骸を掘り起こし鑑定しているとの話もあります。
ところで、野崎氏はこの愛犬イブに財産を与えるとの遺言書を残している、との報道もあります。
愛犬イブは遺言書に財産をもらえる内容が書いてあった場合にはイブは財産をもらえていたのでしょうか。
答えはもちろんNoです。犬は財産を相続できません。
もし、愛犬を心配するならば遺言書に「犬の世話をすることを条件に財産を与える」という文言を書き、負担付き遺贈という方法で犬の世話をする人に財産を承継してもらうことができます。
この場合、その財産を承継した方が犬の世話をしなかった場合は、相続人は家庭裁判所に遺言の取り消しを請求することができ、認められれば相続人の中で協議し遺産を分割することになります。
家政婦は財産をもらえる?
野崎氏には家政婦がおり、東京から週3日ほど通っていたとのこと。この家政婦は野崎氏とは血縁関係がなく相続人ではありません。
しかし、この家政婦は4千万円ほどもらえることになっていたとの報道もあります。
血縁関係がない人が被相続人から財産をもらうには遺言書にその旨を残すしかありません。
しかも今回の場合、被相続人には子供や親がいませんので、相続人である兄弟姉妹には遺留分がありません。遺留分の権利(遺留分減殺請求)は、兄弟や姉妹には認められていないのです。
つまり、野崎氏の兄弟姉妹は遺言書に書かれた内容について異議を唱えることができないため、遺言書に書かれた内容はすべて実現できることとなり、家政婦に財産を渡すという内容の記載があればこの家政婦は財産をもらえることになります。
=編集後記=
1日も早く全容を解明してほしいと願うばかりです。