養子縁組について

相続・贈与に関するもの

養子縁組は相続対策?

養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組とがありますが、今回は普通養子縁組のお話です。

養子縁組を相続税対策でする方をよく見かけます。
相続税対策で養子縁組される方はお孫さんを養子にされる方が圧倒的に多いようです。

果たして、相続税対策として養子縁組は効果があるのでしょうか?
答えはYESです。

それは相続税の計算方法にあります。
相続税は公平な計算をするために法定相続人という概念を使います。
民法上の相続人とほぼ同じですが、相続放棄があった場合などはその相続放棄がなかったものとして法定相続人の数を計算します。

このとき養子は実子として計算され、他に子がいる場合は1人、他に子がいない場合は2人まで法定相続人の数に加算されます

相続人は
第1順位 妻(1/2)、子(1/2)
第2順位 妻(2/3)、親(1/3)
第3順位 妻(3/4)、兄弟姉妹(1/4)
という順番で法律で決められており、相続分(()内)も決められています。

相続税は被相続人(亡くなられた方)の財産を誰が相続人かにより法定相続分に分けるため、この時に法定相続人の数が増えるために、1人1人の法定相続分が減少し、かつ基礎控除が増えるために相続税率を乗じる財産の額が減少します。
従って相続税の節税になるわけです。

養子縁組の手続き

私自身、先日養子縁組をし姓名が変わりました。
その手続きについての経験談をお話します。

市区町村での手続きは婚姻届と同じような手続きで、養子縁組届を提出するだけですが証人が2人必要です。
提出時は養親が同伴できないため、養親の戸籍謄本も提出します。

私の場合には養子縁組届を提出すると、私と妻は自動的に新戸籍が作成されますが、子がそのままになってしまうため、子の転籍届も同時に提出し家族全員が同じ戸籍になるようにしました。新戸籍が作成されますので、当然本籍地も新たに設定できます。

住民票は届けたその場で取ることができました。住民票には従前の氏名と新氏名が記載されています。その住民票を持参し近くの警察署で免許証の改姓の手続きをしてきました。

新戸籍の作成には10日間ほどかかるとのことで、約10日間後に戸籍謄本を取得し、税理士会へ改姓届を戸籍謄本添付の上提出してきました。

養子縁組の注意点

養子縁組すると養親の実子と同じ扱いになりますので、当然相続権が発生します。

上記で相続税対策になると書きましたが、相続対策になるかどうかは微妙です。

子が一人だけでその孫が養子になるのであればなんら問題が起きることはありませんが、子が2人以上いた場合(子Aと子Bとします)、子Aの孫一人だけが養子になるときには子Bについては法定相続分が少なくなります。

子Bが自分の相続分が少なることに納得していない場合、若しくはそのことを知らない場合は相続発生後モメる原因になりますので、ご注意ください。

また、養子縁組する養親と姓が異なる場合は養子の姓が変わることになります。
影響が大きいため、姓が変わるような養子縁組は慎重にご検討下さい。

 

=編集後記=

私の場合には、養親の他の子には相続権のことをお話した上で納得してもらいました。相続のお話はセンシティブなので気疲れしますが、最初に説明をして納得をしてもらえなければ後々もっと大変なことになるのが分かっていたため、あらかじめ説明をしました。

姓が変わると預金通帳やクレジットカード等々の氏名の変更手続きが偉い大変です。
女性が結婚したり離婚したりするとその手続きが大変と聞いてはいましたが、本当に大変です。