建物が滅失しても貸地の評価してOK?

土地を貸している場合は土地の評価が下がる?

土地の評価する場合、その土地が自分で使用している土地なのか、誰かに貸している土地なのかで評価方法が異なります。

土地を「自分で使用している」とは、例えば自宅で使用している、自分自身の商売で使用しているなどが該当し、評価した額の100%の評価になります。
因みに駐車場として貸している土地も、この「自分で使用している」となります。

土地を「誰かに貸している」とは建物を含めて貸している、建物は他人名義で土地のみを貸しているなどが該当します。
この場合、評価した額から借地権相当額が控除したもの(底地評価)が相続税評価額となります。

借地権相当額は評価した額に借地権割合を乗じて算出します。
借地権割合は国税庁が道それぞれに割合を指定していて、都心に近づくほど高くなります。
首都圏では60%から90%の割合が多いです。

したがって、建物が他人名義の土地を貸している場合は評価額は40%から10%の評価になります。
建物も含めて貸している場合は、借家権が考慮されますのでそこまで評価は下がらず70%前後の評価になります。

借地権とは?

借地権とは土地の上にある建物を利用するために、土地を借りる権利のことを言います。
つまり、土地の上には建物がある前提になっています。駐車場や更地に借地権がないのはこのためです。

相続税を算出する際の土地の評価についてもこの借地権が存在するかしないかが問題となります。

建物がなくなってしまった場合、借地権はどうなる?

だいぶ前になりますが、資産税では有名な笹岡先生の研修を聞いてきました。

その中のお話しで、借地権の目的である建物が滅失した場合の更地の相続税評価額を貸地とした採決事例のお話がありました。

借地権を目的とした建物が消滅した場合そこで借地権自体も消滅して相続税評価額も自用地評価になると考えてしまいますが、旧借地法上の借地権の場合(現存する借地権はほとんどこの旧借地法に該当すると笹岡先生はおっしゃっていました)、建物が朽廃ではなく滅失の場合で借地権者と土地所有者間で土地の使用について異議がないときは、消滅前の同一条件で借地権を設定しているものとみなす(旧借地法6条)、
とのことでこれにより地代を建物消滅後も払い続けている場合借地権が存続しているとみなされ、相続税評価額は底地評価となります。

 

この旧借地法6条については、宅建を勉強していればわかります。
やはり資産税を扱うには宅建の知識が必要だと改めて思いました。

 

=編集後記=

この判例は同族会社との土地の賃貸なのですが、無償返還の届け出を出しておらず、課税当局はこの土地の評価の裁決では負けているのですが、借地権の法人税認定課税についてお返しをしているのではと思わずにはいられませんでした。
(法人税について争っているものではないので法人税が課税されたかどうかはわかりません)