なぜ相続税対策でタワーマンションを購入するのか?
数年前から、タワーマンションを相続税対策で購入している方がいらっしゃあると話題になっていました。
そもそも、タワーマンションがなぜ節税になるかと言えば、
タワーマンションは時価(売買価額)と相続税評価額(相続税などを計算するときに使用する評価額)とに乖離があるためです。
高層階ほど売買価額(時価)が高くなりますが、現状相続税評価額については高層階も低層階も同じになっています。
また、建物の部分の相続税評価額は固定資産税評価額で評価することになっています。
つまり、タワーマンションの高層階を購入すると、低層階との乖離、相続税評価額との乖離というダブルで相続税評価額を下げることができることになっています。
具体的には、例えば床面積が同じものの1階の住居の値段が5000万円、50階の住居の値段が1億円、固定資産税評価額が3,000万円だとすると、
相続税を計算する際の相続税評価額が3,000万円となり1億円で購入したものが3,000万円の評価になり7,000万円評価額を下げられることになります。
写真は馬車道付近に建設中のザ・タワー横浜北中
平成29年度税制改正
今年度の改正では、その相続税評価額にメスが入るかと思われましたが、改正は固定資産税の方でした。
高さ60m超の一棟の固定資産税額を按分する際の各区分所有者の専有部分の床面積を補正率により補正することとされました。
計算式は次のとおりです。
各戸の税額=一棟の税額× (各住戸の床面積×階層別床面積補正率)
補正後の専有床面積の合計
補正率は、1階の床面積を100とすると、階が1つ増すごとに10/39(≒0.2564)を加えていきます。
これにより、一棟全体の固定資産税は変わらないのですが、低層ほど安くなり、高層ほど高くなることになります。
例えば40階の場合は1階を100とした場合補正率は110となるため、計算式で計算すると1階の固定資産税のおよそ5%弱増加ということになります。
今後の動向
国税当局はタワーマンション購入について、過度の節税だと判断すると更正をしています。
過去、相続開始(死亡)半年前に購入し相続税申告書提出後に売却するなど行為には追徴課税がなされているそうです。
現状、税制調査会などでの動きはまだありませんが、
消費税の調整対象固定資産を取得した際の課税仕入れの計算の特例の平成22年度改正に抜け穴があったため、平成28年度改正で抜け穴を塞いだように、
来年度以降、過度な相続税対策防止のためとして第2弾、第3弾の改正が出てくるのか注目です。
=編集後記=
バブルのように売買価額が高騰しているからか分かりませんが、タワーマンションが売れ残り始めたという話もチラホラ聞くようになりました。
私の家の目の前でも20階建てマンションの建設工事をやっています。恐ろしいくらい高い値段で売っているようです。
それよりも冬の日照がなくなるのが辛いな。。。