個人で事業を始めた時にはどんな届出が必要?

個人事業者に関するもの

個人で事業を始めた時の届出

個人で事業を始めたときにはどんな届出が必要なのでしょうか。

個人事業の開業・廃業等届出書

事業を始めた時、住所または事業所などの納税地を所轄する税務署長宛てに開業の日から1か月以内に提出します。

 

また、商品の売買をする方で棚卸資産の評価方法を最終仕入原価法以外の方法を採用しようする場合は、「所得税の棚卸資産の評価方法の届出書」を開業後最初の確定申告書の提出期限までに納税地の所轄税務署長宛てに提出します。

 

さらに、固定資産の減価償却方法についても、機械装置や車両運搬具、工具器具備品などについて法定償却方法である定額法以外の方法を選択したい場合は、「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を開業後最初の確定申告書の提出期限までに納税地の所轄税務署長宛てに提出します。

 

所得税の青色申告承認申請書

事業を始めた際は、1年間の所得金額を正しく計算するために収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、また、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておかなければなりません。

 

日本の申告制度には、正しく記帳し、その記帳に基づいて正しい申告をする人について所得金額の計算など有利な取扱いが受けられる青色申告制度があります。

 

青色申告制度を選択する場合は「青色申告承認申請書」を開業の日から2か月以内に提出しなければなりません。

 

ただし、開業した理由が被相続人からの相続による承継の場合は青色申告承認申請書の提出期限は以下の通りとなっています。

①被相続人が白色申告者で1月1日から1月15日までに事業を承継した場合・・・その年の3月15日

②被相続人が青色申告者で死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合・・・死亡の日から4か月以内

③被相続人が青色申告者で死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合・・・その年の12月31日

④被相続人が青色申告者で死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合・・・翌年2月15日

 

青色事業専従者給与に関する届出書

生計を一にしている配偶者その他の親族が事業者の経営する事業に従事している場合、事業者がこれらの人に給与を支払うことがあります。

これらの給与は原則として必要経費にはなりません。

 

しかし、青色申告の場合は青色事業専従者給与の特例、白色申告の場合は事業専従者給与の特例が要件を満たすことを条件に認められています。

 

白色申告の場合は、配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円が事業専従者給与として必要経費に算入することが認められます。

 

青色申告の場合は、「青色専従者給与に関する届出書」を青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)に提出し、次の要件を満たす場合は、労働の対価として相当であると認められる金額までは必要経費に算入することができます。

①青色専従者が青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
②その年の12月31日現在で15歳以上であること。
③その年を通じて6月の期間、その青色申告者の事業に専ら従事すること。
④届書に記載した方法により支払われ、金額も届出書に記載した範囲内であること。

 

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

従業員に給与を支払う場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を給与支払事務所等を設けてから1月以内に給与支払事務所等の所在地(通常は納税地)の所轄税務署長宛てに提出します。

 

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

給与を支払う際は、給与の所得税を差し引いて(所得税を事業者が預かっている状況)従業員に支払います。

 

この預かった所得税は原則支払った月の翌月10日前に支払わなければなりませんが、従業員が10人以下の場合、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を給与支払事務所の所在地(通常は納税地)を所轄する税務署長宛てに提出すれば、源泉所得税の納付を半年に1回にすることができます。