区分記載請求書方式とは?(消費税軽減税率)

個人事業者に関するもの

消費税納付税額の計算方法

消費税は現状の8%の税率ですと、国税部分が6.3%、地方消費税が1.7%となっています。

 

消費税の納付税額を計算するときはまず6.3%の国税部分から以下のように計算します。

①消費税が課税された収入の部分にかかる消費税(6.3%)を計算

②消費税が課税された費用の部分にかかる消費税(6.3%)を計算

③国税部分の納付税額=①-②

④地方消費税額の納付税額=③×17/63

⑤納付税額=③+④

 

この場合、②の消費税が課税された費用の部分にかかる消費税(仕入税額控除)については、税務署の納付する納税額を少なくする規定であることから要件があります。

 

 

仕入税額控除を受けるための要件

その要件とは、帳簿と請求書等の保存です。

 

現行制度では、帳簿には
① 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
② 課税仕入れを行った年月日
③ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
④ 課税仕入れに係る支払対価の額
を記載することとなっており、

請求書等には
① 書類の作成者の氏名又は名称
② 課税資産の譲渡等を行った年月日
③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
④ 課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格)
⑤ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
を記載することとなっています。

 

これらが記載された帳簿、請求書等を保存していなければ、また保存した帳簿、請求書等にこれらの記載がなければ消費税が課税された収入にかかる消費税から仕入税額控除ができないことになっています。

 

区分記載請求書方式

平成31年(2019年)10月1日から消費税率が10%に上がることにより軽減税率制度が導入されることになりました。

 

これにより、平成31年(2019年)10月1日から平成35年(2023年)9月30日までの間は区分記載請求書方式により記載された帳簿、請求書を保存することが仕入税額控除の要件となっており、平成35年(2023年)10月1日からは適格請求書保存方式により帳簿、請求書等を保存することになっています。

 

この区分記載請求書方式が現行制度と異なる点は、
・軽減税率が適用される品目である旨を記載すること
・税率ごとに区分して合計した対価の額を記載すること
の2つの点が追加されたことです。

 

軽減税率が適用される品目である旨を記載する方法は、例としてその対象商品に「※」や「☆」といった記号・番号を付け表示し、欄外に「※(☆)は軽減対象」等の表示をします。

(消費者庁ホームページより)

 

仕訳をする際は、この税率ごとに合計した対価の額をそれぞれ仕訳することになりますから、1枚の請求書から2つの仕訳をする必要があります。

 

また、平成31年10月1日以降、軽減税率が適用される品目があるにもかかわらず、受け取った請求書がこのような区分記載請求書ではなく現状と同じ請求書だった場合には、受け取った事業者の方で「軽減税率が適用される品目である旨」と「税率ごとに合計した対価の額」のみ追加記載することができることとなっています。

もし、記載されていない場合は自分で記載して下さい。

 

 

 

 

 

 

=編集後記=

この区分記載請求書方式は適格請求書方式を採用する前段階で本番は適格請求書保存方式です。

これについては次回説明します。