個人事業者のための減価償却の計算方法

減価償却とは

個人事業者が確定申告書に添付する決算書を作成するにあたり、
建物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品や特許権、営業権などの資産については、取得するために支払った費用はその支払った事業年度に全額必要経費にするのではなく、その資産の種類、構造、用途などの別にその資産の耐用年数の期間に渡って定められた方法により費用化します。

この耐用年数の期間に渡って費用化することを減価償却といいます。

 

減価償却という言葉からも、減価償却の対象となる資産は時間の経過とともに価値が下がるものです。

したがって、次のような資産は減価償却の対象にはなりません。
①土地、借地権
②建設中の建物、販売するために持っている建物や機械など
③使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の少額な減価償却資産
④一括償却資産の必要経費算入(3年で必要経費算入)を選択した一括償却資産
⑤中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例を選択した少額減価償却資産

 

減価償却の計算方法

減価償却の方法は平成19年度税制改正により大きく変わりました。平成19年4月1日より前に取得した資産と後に取得した資産では償却の方法が異なりますのでご注意ください。

 

所得税法上、減価償却の方法について税務署に届出をしない場合は定額法(平成19年3月31日以前は旧定額法)となります。

また、建物については平成10年4月1日から平成19年3月31日までに取得したものは旧定額法、平成19年4月1日以後に取得したものは定額法です。

建物付属設備、構築物については平成28年4月1日以後に取得した者は定額法に限られることになりました。

 

≪平成19年4月1日以後に取得したもの≫

【定額法】

減価償却費=
取得価額 × 耐用年数に応ずる定額法の償却率 × その年に事業に使用していた月数/12

 

≪平成19年3月31日までに取得したもの≫

【旧定額法】

減価償却費=
取得価額の90% × 耐用年数に応ずる旧定額法の償却率 × その年に事業に使用していた月数/12

 

※定率法は省略します。

 

この場合の取得価額とは、購入代金や建築費のほか、引取運賃、荷役日、運送保険料、購入手数料や関税などその資産を取得するために支払った費用やその資産を事業に使用するために支払った費用を含みます。

 

耐用年数と償却率についてはあらかじめ決められていますので、「青色申告決算書の書き方」を参照してください。

 

減価償却の計算方法の特例

中古資産を取得した場合は、決められている耐用年数をそのまま適用するのは公平ではありませんので、取得後の使用可能期間を見積もって耐用年数とする特例があります。

①法定耐用年数の全部を経過した資産
法定耐用年数×0.2=耐用年数

②法定耐用年数の一部を経過した資産
法定耐用年数ー(経過年数×0.8)=耐用年数

 

また、年の中途で減価償却資産を売却した場合は、その譲渡の時における償却費の額を譲渡所得の金額を計算する際に、控除する取得費に含めずにその年の事業の減価償却に算入しても良いことになっています。

 

 

 

=編集後記=

少額の減価償却資産を取得した場合の一括償却資産を選択するか少額減価償却資産の特例を選択するかについては、「個人事業者、中小企業が少額減価償却資産を取得したときのお話」をご参照下さい。