個人事業者のための所得区分ごとの消費税課税売上げの考え方

個人事業者に関するもの

事業所得に係る収入のうち、課税売上げとなるものならないもの

事業所得に係る収入は、ほとんどが課税売上げとなります。

 

ただし、医師の社会保険診療収入や、産婦人科医や助産師等の助産に係る収入、物品切手等(商品券、ビール券等)の販売代金などは、非課税とされていますので、課税売上げとはなりません。

 

なお、個人事業者が棚卸資産を家事のために消費した場合は、通常の販売価額が課税売上げとなります。ただし、仕入価額以上の金額で、通常の販売価額の50%(所得税では70%)以上の金額を課税売上げとしてもよいことになっています。

 

不動産所得に係る収入のうち、課税売上げとなるものならないもの

不動産所得に係る収入(不動産の賃貸料や権利金、礼金、更新料等)は、借地権等を含む土地の貸付けに係るもの(地代)及び住宅の貸付けに係るもの(住宅家賃)を除いて、課税売上げとなります。

 

家賃については、事業用(事務所、店舗等)は課税売上げとなり、居住用については非課税売上となります。

 

地代は、原則として課税売上げとはなりませんが、貸付期間が1 か月に満たない場合や、駐車場などの貸付けの場合は、課税売上げとなります。

 

また、住宅家賃も原則として課税売上げとはなりませんが、貸付期間が1 か月に満たない場合等は、課税売上げとなります。

 

なお、貸付用の建物を譲渡した場合は、譲渡損失が生じたとしても、その譲渡収入は、次の『譲渡所得に係る収入のうち、課税売上げとなるもの』となります。

 

譲渡所得に係る収入のうち、課税売上げとなるものならないもの

譲渡所得に係る収入のうち、業務に使用していた建物や機械、車両などの譲渡収入は、課税売上げとなります。業務用固定資産を、負担付贈与により譲渡した場合や、法人に対して現物出資した場合も同様です。

 

例えば、商品の配達に使用していた車両を売却した場合(新たに車両を購入するために下取りしてもらった場合も含む)の収入(下取りの場合は下取価格)は、課税売上げとなります。この場合、課税売上げとなる金額は、売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いた残額ではなく、売却代金の全額になります。

 

ただし、土地(借地権等を含む)の売却代金は非課税とされていますので、課税売上げとはなりません。

 

 

 

=編集後記=

昨日も書かせていただきましたが、課税売上げについては課税なのか、非課税なのか、不課税なのかは厳密に区分する必要があります。

なぜなら消費税の申告書を作成する際、非課税売上高を計算に使うからです。
特に不動産所得がある方はご注意を。。。