消費税申告書の書き方(平成29年度確定申告)

個人事業者に関するもの

税込み経理方式と税抜き経理方式

先日、消費税の申告書に記載する金額は税込みの金額なのか、税抜きの金額なのかという質問がありました。

この答えは、税抜きの金額です。

普段、事業の記帳をする場合は殆どの方が税込み経理方式を採用していると思います。つまり何も意識してなければ税込み経理方式になります。

納付額が決定したらその消費税の金額を租税公課に計上します。

税込み経理方式とは、文字通り消費税込みの総額を1行に記載する方法です。
例えば、本体価格100円、消費税8円の商品を売った場合は108円を売上に計上します。

(現金)        108     /  (売上)          108

税抜き経理方式というのがあるのですが、この方法は、上の例では100円を売上に計上し、8円は仮受消費税等という科目で負債に計上します。

(現金)        108      /  (売上)          100

                                /  (仮受消費税等)  8

支払の方は、消費税部分は仮払消費税等という科目で資産に計上します。

   (費用)          100     /   (現金)     108

   (仮払消費税等)8      /

納付額を計算する場合は、この仮受消費税等と仮払消費税等を相殺して納付額を未払消費税という負債科目に計上します。
端数が生じる場合がありますので、その端数は雑収入に計上します。

このように普段の経理方式に違いはあれど、申告書に記載する金額はすべて税抜き金額となります。

 

課税標準額

課税標準額とは、売上等の消費税が課せられる収入に対し、課せられた消費税を計算するために、消費税率を乗ずる基準となる税抜きの収入金額を言います。

この課税標準額は、税込み経理方式の場合は、次の計算式で求めます。
(売上の総額)× 100/108 = 課税標準額

税抜き経理方式の場合は、原則次の計算式で求めます。
(売上の金額+仮受消費税等の額)× 100/108 = 課税標準額

もし、この課税標準額に税込みの金額を記載した場合、申告書の構成上、その税込みの金額の金額に消費税率を乗ずることになるので、正確な消費税額よりも多い消費税額が計上されることなりますので、ご注意ください。

売上値引きや返品がない場合は、この課税標準額が2年後の申告書に記載する「基準期間の課税売上高となります。

基準期間の課税売上高

基準期間の課税売上高」とは、個人事業者の場合は前々年の消費税が課された税抜きの売上高を言います。

つまり申告書に記載する「基準期間の課税売上高」も税抜きの金額となります。

売上値引きや返品があった場合はその税抜きの金額を差引しますが、ない場合は前々年の申告書の課税売上高が「基準期間の課税売上高となります。

もし、この「基準期間の課税売上高」を税込みの金額で記載し、かつその金額が1,000万円超1,080万円以下の場合税抜き金額にすると1,000万円以下となり、前年の1月から6月までの税抜きの売上高が1,000万円を超えていない限り、本来その年は消費税を納める義務がないにもかかわらず消費税を納めることになってしまう可能性があります

この場合は税務署に申し出れば、消費税を納めなくていいようにしてくれますから一度問い合わせてみてください。

 

=編集後記=

消費税は届出等もそうですが、一歩間違えれば非常に損をしてしまう可能性があるため専門家にお願いするのをお勧めします。