情報連携投資等の促進に係る税制の創設(平成30年度税制改正)

その他の法人に関する税金

コネクテッド・インダストリーズ

IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)など、デジタル技術が新たな価値を生み出そうとしている昨今、日本政府は昨年、第4次産業革命の下でデータ量が爆発的に増大する中、データを介して企業、消費者などが連携し、新たな付加価値を生み出す産業のあり方を全面的に支援する戦略「Connected Industries」の推進を打ち出しました。

世耕経済産業大臣は、経済産業省のホームページにおいて、「Connected Industries」を「企業と企業、機械と機械、人と人などがデータを介して“つながる”世界」と説明しています。

現状、事業所や工場において、技術・技能の電子データ化は進んでいるがそれがバラバラに管理されており、データが活用しきれていません。

将来的にはそのデータが繋がり、有効に活用することにより技術革新、生産性向上、技能伝承などを図ろうとするものです。

この取り組みには、協調領域における連携や生産管理システム等の高度化によるデータの利活用するために、高レベルのサイバーセキュリティ対策に必要なシステム構築などが必要になります。

そこで、今年度の改正において上記のようなIT投資に対して税制措置が講じられました。

平成30年度税制改正の概要

青色申告書を提出する法人で革新的データ活用計画(仮称)の認定を受けたものが、平成33 年3月31 日までの間に、その革新的データ活用計画に従って取得価額の合計額が5,000 万円以上のソフトウエア新設又は増設した場合において、情報連携利活用設備の取得等をして、その事業の用に供したときは、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額5%の税額控除との選択適用ができることとなりました。

この場合、所得拡大促進税制の要件である平均給与等支給額が前年度分から3%以上増加していないときは税額控除割合は3%となります。

ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%(上記、平均給与等支給額が前年度分から3%以上増加していないときはには、15%)が上限となります。

情報連携利活用設備とは、ソフトウエア、機械装置及び器具備品をいい、開発研究用資産は除かれます。

なお、機械装置は、データ連携・利活用の対象となるデータの継続的かつ自動的な収集を行うもの又はデータ連携・利活用による分析を踏まえた生産活動に対する継続的な指示を受けるものに限られます。

計画認定の要件

この税制は生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の制定を前提とされていて、税額控除等の適用を受けるには投資計画がこの法律に基づいた認定を受けることが必要です。

認定を受けるには以下の要件を満たさなければなりません。

  1. 次のいずれかに該当すること 
    1. 社外データやこれまで取得したことのないデータを社内データと連携
    2. 企業の競争力における重要データをグループ企業間や事業所間で連携
  2. 次の全てが行われること
    1. 上記1①の各データ又は上記1②の各データの継続的かつ自動的な収集及び一体的な管理
    2. 上記1①の各データ又は上記1②の各データ同士の継続的な連携及び分析
    3. 上記②の分析を踏まえた生産活動に対する継続的な指示
  3. 必要なセキュリティ対策が講じられていることをセキュリティの専門家(登録セキスペ等)が担保すること
  4. 投資年度から一定期間において、以下のいずれも達成見込みがあること
    1. 労働生産性:年平均伸率2%以上
    2. 投資利益率:年平均15%以上

 

編集後記

中小企業経営強化法もそうですが、最近の税額控除は計画を提出しその認定を受けることが要件となっています。

納税が少なくなるので致し方ないことですが、ちょっと面倒です。