大企業における税額控除適用要件の見直し(平成30年度税制改正)

その他の法人に関する税金

改正点の概要

中小企業者または農業協同組合等以外の大企業については、賃上げや国内投資を確実なものとするために、前期より所得が増加している事業年度においてその要件を満たさない場合は租税特別措置の中の一部の税額控除の適用について制約されることとなりました。

 

大綱においては以下の通りとなっています。

 

大企業が、平成30 年4月1日から平成33 年3月31 日までの間に開始する各事業年度において次の要件のいずれにも該当しない場合には、その事業年度については、研究開発税制、地域未来投資促進税制及び情報連携投資等促進税制(平成30年度税制改正)を適用できないこととする。

ただし、その所得の金額が前期の所得の金額以下の一定の事業年度にあっては、対象外とする。

 

要件

平均給与等支給額が比較平均給与等支給額(前年度分)を超えること。

国内設備投資額が減価償却費の総額の10%を超えること。

 

注意点

イ 所得の金額は欠損金の繰越控除前の金額となります。

 

ロ 設立事業年度または合併の日を含む事業年度については上記の制約の対象となります。

 

ハ 平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額については、その計算の基礎となる継続雇用者がない場合には上記①の要件は満たすものとされます。

 

ニ 「国内設備投資額」とは、法人が当期において取得等をした国内にある減価償却資産となる資産で当期末において有するものの取得価額の合計額をいい、上記の「減価償却費の総額」とは、その法人の有する減価償却資産につき当期の償却費として損金経理をした金額を言い、償却費として損金経理をした金額には前期の償却超過額等は除かれ、特別償却準備金として積み立てた金額が含まれます。

 

 

 

 

=編集後記=

今回の改正は大企業の内部留保を少しでも使ってもらおうとするものです。

日本の大企業の内部留保は世界から見てもかなり多いとのこと。

政府としては給与と国内投資に使ってもらいたいという意図なのですが、株主としては配当してもらいたいと思います。