スピンオフが見込まれる場合の当初の組織再編成の適格要件の見直し
平成29年度改正で、スピンオフが組織再編税制の仲間入りをし、適格要件を満たすときは課税が繰り延べられることとなりました。
スピンオフには主に次の2つの形式があります。
- 事業部門のスピンオフ
- 完全子会社のスピンオフ
事業部門のスピンオフとは、
親会社がその親会社の一部の事業部門を新設の子会社に現物出資し、その株式を親会社の株主に比例配分により現物分配し分社化する方法です。
完全子会社のスピンオフとは、
親会社が子会社の株式を親会社の株主に現物分配をすることにより、今までの親子関係から兄弟関係になる方法を言います。
グループ法人の組織再編成をした後にこのスピンオフが予定されている場合、当初の組織再編成は、その適格要件のうち完全支配関係の継続要件を満たさないことになり、と非適格組織再編成みなされてしまいます。
今回の改正で、当初の組織再編成の後スピンオフが予定されているのであれば、その当初の組織再編成の適格要件の判定時期がスピンオフ直前の時点とされました。
事業移転等が見込まれる場合の当初の組織再編成の適格要件の見直し
組織再編成の後に事業の移転や従業員の移動が見込まれる場合は、当初の組織再編成は、その適格要件のうち事業継続要件や従業者従事要件を満たさないことになり、非適格組織再編成とみなされます。
今回の改正で、完全支配関係がある法人へ事業の移転や従業員の移動することが見込まれる場合に限り、その当初の組織再編成の適格要件である事業継続要件と従業者従事要件を満たすこととされました。
無対価組織再編成の適格要件の見直し
組織再編成において例えば、A氏がX法人とY法人の2つの法人のそれぞれ100%の株式を所有する株主であった場合に、X法人とY法人を合併することとなったときは、A氏に合併の対価を払うのは経済的実利がないため、通常は無対価で行います。
平成22年度税制改正において無対価組織再編成が適格組織再編成の仲間入りをし、適格要件も定められましたが、今回その見直しがされることとなりました。
また、無対価組織再編成が非適格組織再編成となった場合の処理方法が明確化されることになりました。(大綱にはこの記述しかないため今年の5月から6月頃にその詳細が発表されるものと思われます。)
=編集後記=
大綱に「いつから適用」の記載がありません。法律の条文を見なければいけません。(1月23日時点でまだ今年の税制改正法案は国会に提出されていないようです。)