地方拠点化税制の見直し(平成30年度税制改正)

その他の法人に関する税金

地方拠点強化税制とは

地方拠点強化税制とは、
本社機能を
①地方で拡充する場合
②東京23区以外から地方に移転する場合
③東京23区から地方に移転する場合
に受けられる税制における支援措置を言います。

その支援措置を受けるためには
(1)「拡充型事業」または「移転型事業」を行うことについて、都道府県知事から整備計画の認定を受けること
(2)期限内に確定申告を必ず行うこと
が必要です。

この場合の「拡充型事業」とは上記①と②の場合が該当し、「移転型事業」とは上記③の場合が該当します。

現状の措置

地方拠点強化税制には
①設備投資減税
②雇用促進税制
③地方税の不均一課税
の3つの措置があります。

平成30年3月31日までに開始する事業年度まで適用できることとなっています。

設備投資減税(オフィス減税)

建物等の取得価額に対して、
拡充型:15%の特別償却または4%の税額控除
移転型:25%の特別償却または7%の税額控除
が受けられます。

雇用促進税制

拡充型:本社機能における増加雇用者に対して無期フルタイムの新規雇用者は一人当たり60万円、それ以外は一人当たり50万円の税額控除が受けられます。

移転型:拡充型の支援措置に加え、東京23区からの転勤者を含む本社機能の増加雇用者一人当たり30万円の税額控除(最大3年間)が受けられます。
ただし、法人全体または本社機能の雇用者数が減少した年以降は不適用となります。

地方税の不均一課税

不動産取得税、固定資産税、事業税の減税措置が受けられます。
(各自治体ごとに対応が異なります。)

改正点

地方活力向上地域における設備投資減税を2年間延長

地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は中小企業者等の税額控除制度の適用期限が2年延長されます。

現行の雇用促進税制を地方活力向上地域における雇用促進税制に改組した上で2年間延長

  1. 「増加雇用者数が5人以上(中小企業者等については、2人以上)であること」との要件を、「地方事業所基準雇用者数のうち、有期雇用又はパートタイムである新規雇用者を除いた数が2人以上であること」とされます。
  2. 「給与等支給額が比較給与等支給額以上であること」との要件における比較給与等支給額について、その計算の基礎となる増加雇用者数に応じた給与等支給額に乗ずる割合が20%(現行:30%)に引き下げられます。
  3.  地方事業所基準雇用者数に係る措置における地方事業所税額控除限度額が次の金額の合計額とされます。
    1. 30 万円(雇用者の増加割合が8%以上(移転型事業にあっては、5%以上)であることとの要件を満たす場合には、60 万円)に、地方事業所基準雇用者数のうち無期雇用かつフルタイムの要件を満たす新規雇用者数に達するまでの数を乗じて計算した金額
    2. 20 万円(雇用者の増加割合が8%以上(移転型事業にあっては、5%以上)であることとの要件を満たす場合には、50 万円)に、新規雇用者総数(地方事業所基準雇用者数を超える部分を除く。)から無期雇用かつフルタイムの要件を満たす新規雇用者数を控除した数のうち新規雇用者総数の40%に達するまでの数と地方事業所基準雇用者数から新規雇用者総数を控除した数との合計数を乗じて計算した金額
  4. 地方事業所特別基準雇用者数に係る措置における地方事業所特別税額控除限度額について、改正後の地域再生法の準地方活力向上地域(仮称)の特定業務施設に係る金額が20 万円(原則:30 万円)にその特定業務施設に係る地方事業所特別基準雇用者数を乗じて計算した金額とされます。

地方活力向上地域特定業務施設整備計画の見直し

  1.  準地方活力向上地域とされた近畿圏の中心部及び中部圏の中心部については、移転型事業の対象地域となります。
  2. 「特定業務施設の従業員数及び増加従業員数が10 人以上(中小企業者については、5人以上)であること」との計画の認定要件について、5人以上(中小企業者については、2人以上)に引き下げられます。
  3. 移転型事業に係る「計画期間を通じた特定業務施設の増加従業員数の過半数が特定集中地域からの転勤者であること」との計画の認定要件(現行要件)に、「特定業務施設が整備され事業を開始した年度における特定業務施設の増加従業員数の過半数が特定集中地域からの転勤者であり、かつ、計画期間を通じた特定業務施設の増加従業員数の4分の1以上の数が特定集中地域からの転勤者であること」との要件が加えられた上、現行要件との選択とされます。
  4. 工場内にある一定の研究施設等が特定業務施設に該当すること及び移転型事業の対象地域の範囲について明確化されます。

 

=編集後記=

首都圏、中部圏、近畿圏のそれぞれ中心部の大都市等は対象外です。
神奈川県においては小田原市より東の区域は対象外となります。