法人税法における収益の認識等(平成30年度税制改正)

その他の法人に関する税金

資産の販売もしくは譲渡または役務の提供

企業会計基準において、国際会計基準を踏まえた収益認識基準が導入されたことから、法人税法上の収益認識等についても法令上明確化されることとなりました。

益金の額

資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供(以下、「資産の販売等」という。)に係る収益の額として所得の金額の計算上益金の額に算入する金額は、原則として、その販売若しくは譲渡をした資産の引渡し時における価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額となります。

貸倒れ又は買戻しの可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合の価額とし、値引き割戻しについては、客観的に見積もられた金額を収益の額から控除することができることとされます。

また、資産の販売等に係る収益の額を実質的な取引の単位に区分して計上することも可能となりました。

益金の計上時期

資産の販売等に係る収益の額は、原則として目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されます。

一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従った経理をする場合

資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って上記「益金の計上時期」の日に近接する日の属する事業年度の収益の額として経理した場合には、上記 「益金の計上時期」の規定にかかわらず、当該資産の販売等に係る収益の額は、原則として当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されます。

返品調整引当金制度

平成33年3月31日までに開始する事業年度をもって返品調整引当金制度は廃止されることになりました。

ただし、制度廃止に伴い経過措置として、平成33年4月1日から平成42年3月31日までに開始する各事業年度については、現行法による損金算入限度額に対して 1年毎に10分の1ずつ縮小した額の引当てが認められます。

長期割賦販売等に係る延払基準

会計上の割賦基準が廃止されたことから、法人税法上における長期割賦販売等に該当する資産の販売等について延払基準により収益の額及び費用の額を計算する選択制度も、廃止されることになりました。

なお、平成30 年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人については、平成35 年3月31 日までに開始する各事業年度について現行の延払基準により収益の額及び費用の額を計算することができます。

また、経過措置として平成30年4月1日以後に終了する事業年度において延払基準の適用をやめた場合には繰延割賦利益額を10 年均等で収益計上するすこととなりました。

消費税も同様の措置が取られます。

 

=編集後記=

簿記を勉強した時、教えた時に一生懸命やった割賦販売が廃止されるとは時代の流れを感じます。