青色申告特別控除の見直しその他の措置(平成30年度税制改正)

所得に関するもの

青色申告特別控除の見直し

個人事業者については、給与所得控除等の見直しは関係ないため、基礎控除が改正になることで所得税が減税になると思われていましたが、ここにきて青色申告特別控除が見直されました。

青色申告特別控除を65万円受けている方については、55万円に引き下げられます。

ただし、次に該当する場合は青色申告特別控除は65万円となります。

  1. その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の備付け及び保存を行っていること
  2. その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行うこと。

つまり

  1. 会計ソフトを使って記帳している場合にその帳簿の保存をCD-ROMなどに保存をすることを税務署に届出て、実際に帳簿の保存をCD-ROMなどにしている場合
  2. 国税庁ホームページにある確定申告書等作成コーナーで作成した申告書をそのままe-Taxで申告した場合

が該当し、青色申告特別控除は65万円のままです。

 

電磁的記録とは?

電子帳簿保存法という法律があり、国税関係帳簿書類の保存について定められています。

その概要は

国税関係帳簿書類のうち電子計算機を使用して作成している国税関係帳簿書類については、税務署長等の承認を受けた場合には、一定の要件の下で、電磁的記録又は電子計算機出力マイクロフィルム(以下「COM」といいます。)による保存等(国税関係帳簿の場合には備付け及び保存をいいます。以下同様となります。)が認められます(法4、5)。
また、取引の相手先から受取った請求書等及び自己が作成したこれらの写し(国税関係書類(決算関係書類、契約書・領収書の一部を除きます))について、税務署長等の承認を受けた場合には、書面による保存に代えて、一定の要件の下で、スキャナで読み取って作成した電子化文書(以下「スキャン文書」といいます。)による保存が認められます(法4③)。

つまり、いずれも税務署長の承認を受けた上で

  1. 帳簿書類はCD-ROMなどにデータを保存
  2. 請求書、領収書などはスキャンしてPDFファイルとして保存

が認められています。

 

基礎控除等の改正に伴う所要の措置

基礎控除の改正等に伴い、配偶者の所得要件なども変更されます。

具体的には

所得税・個人住民税

  1. 同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件48 万円以下(現行:38 万円以下)に引き上げる。
  2. 源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件95 万円以下(現行:85 万円以下)に引き上げる。
  3. 配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件48 万円超133万円以下(現行:38 万円超123 万円以下)とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分を、それぞれ10 万円引き上げる。
  4. 勤労学生の合計所得金額要件75 万円以下(現行:65 万円以下)に引き上げる。
  5. 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額55 万円(現行:65 万円)に引き下げる。
  6. 非居住者の公的年金等について、分離課税の対象となる金額等の算定における控除額計算の基礎となる額を、65 歳未満の者については5万円(現行:6万円)に、65 歳以上の者については9万5千円(現行:10 万円)にそれぞれ引き下げる。

個人住民税のみ

  1. 障害者、未成年者、寡婦及び寡夫に対する個人住民税の非課税措置の前年の合計所得金額要件135 万円以下(現行:125 万円以下)に引き上げる。
  2. 個人住民税均等割の非課税基準を、35 万円に本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額に10 万円を加えた金額(同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に21 万円を加えた金額)とする。また、個人住民税所得割について、前年の所得の金額が35 万円に本人、同一生計配偶者及び扶養親族の合計数を乗じて得た金額に10 万円を加えた金額(同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合には、その金額に32 万円を加えた金額)以下の者を非課税とする。

以上の改正は平成32 年分以後の所得税及び平成33 年度分以後の個人住民税について適用されます。

 

編集後記

給与所得控除が見直されるお話は報道でもされていましたから、情報はありましたが、個人事業者向けに青色申告特別控除に手を付けるとは意外でした。

ただ、電磁的記録として保存しなくても、国税庁ホームページからの確定申告書等作成コーナーからe-Taxを使って提出すれば65万円の控除を適用できますからご使用ください。