特定口座で株式の譲渡損失が発生している場合

所得に関するもの

確定申告不要制度

証券会社等に特定口座を開設した場合に、その特定口座内における上場株式等の譲渡による譲渡所得等の金額については、特定口座外で譲渡した他の株式等の譲渡による所得と区分して計算します。

この場合、特定口座内で生じた譲渡益等に対して源泉徴収することを選択した場合には、その特定口座における上場株式等の譲渡による所得は原則として、確定申告は不要です。

 

医療費控除や寄付金控除を受けるために確定申告書を提出する場合であっても、特定口座における上場株式等の譲渡による所得については、確定申告書に記載しないことができます。
(他の確定申告不要制度があるものについては確定申告書を提出する場合は記載が必要です。)

 

これに対し、
一般口座での取引や特定口座内で生じた譲渡益等に対し源泉徴収をしない選択をした場合は、確定申告をする必要があります。

 

上場株式の譲渡損と配当との損益通算

従来、上場株式の配当については総合課税の配当所得とされ、配当控除が認められています。

また、1年当たり10万円の少額配当については確定申告をしなくてもより確定申告不要制度があります。

 

平成25年度税制改正により、平成28年1月からはこれらに加え申告分離課税を選択することができることとされました。

また、上場株式に係る譲渡損失と上場株式以外の株式に係る譲渡益との損益通算ができなくなりました。

 

一方で、
上場株式の配当について申告分離課税を選択した場合は、上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合は、確定申告により、その年分の上場株式等の配当等の金額と損益通算ができます。

 

特定口座内で生じた上場株式等の譲渡益や配当等に対して源泉徴収することを選択した場合、特定口座内で上場株式等に係る譲渡損失の金額と配当等の金額は損益通算され、配当等に係る源泉徴収税額は特定口座に還付されます。

 

また、特定口座を2つ以上お持ちの方は、1つの口座に上場株式等に係る譲渡損失が生じている場合、他の口座では上場株式等に係る譲渡益が生じているときは確定申告書を提出することにより損益通算できます。

 

損失の繰り越し

上場株式等に係る譲渡損失の金額と上場株式等に係る配当等の金額が損益通算できることは前述しましたが、譲渡損失の方が多い場合、損益通算しても損失が残ってしまいます。

この損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます。

 

この場合、確定申告書に「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」及び「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を添付して提出することが必要です。

 

この損失を来年以降の上場株式の売却益と通算できますが、この通算の申告をした方が国民健康保険だった場合は、その年の国民健康保険料がハネ上がりますのでご注意ください。

 

 

 

 

 

=編集後記=

源泉徴収ありの特定口座だと確定申告不要となっていますので、確定申告をしない選択をしがちですが、確定申告することにより節税できる場合があります。

節税できる要素がないかご検討ください。