一般社団法人等に対する相続税・贈与税の見直し(平成30年度税制改正)

相続・贈与に関するもの

一般社団法人とは?

一般社団法人とは,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)」に基づいて設立された社団法人のことをいいます。

設立に当たっては,2人以上の社員が必要です。
一般社団法人の社員には,法人もなることができます。

 

この場合、必ずしも社員=出資者とはならないため、一般社団法人は出資者が存在しない、出資持分がないといわれます。

つまり、一般社団法人に出資をしても出資分の返還はありますが、それ以上の返還は定款に定めない限りありませんから、一般社団法人の出資持分は相続財産にならないとされてきました。

このことを利用して相続財産を一般社団法人に移すスキームが流行っています。

 

しかし、今回の改正でこのスキームにメスが入りました。

 

一般社団法人等に対して贈与等があった場合の贈与税等の課税の見直し

個人から一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人等、非営利型法人その他一定の法人を除く。以下「一般社団法人等」という。)に対して財産の贈与等があった場合の贈与税等の課税については、贈与税等の負担が不当に減少する結果とならないものとされる現行の要件のうちいずれかを満たさない場合に贈与税等が課税されることとし、規定が明確化されます。

 

「現行の要件」とは次の要件を言います。

①役員等に占める親族等の割合が3分の1以下である旨の定款の定めがあること

②その法人に財産の贈与若しくは遺贈をした者又はこれらの者の親族等に対し、特別の利益を与えないこと。

③その定款等において、当該法人が解散した場合にその残余財産が国等に帰属する旨の定めがあること。

④当該法人につき仮装・隠蔽の事実がないこと

 

上記の改正は、平成30 年1月1日から平成39 年12 月31 日までの間に贈与等により取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用されます。

 

特定の一般社団法人等に対する相続税の課税

特定一般社団法人等の役員(理事に限る。以下同じ。)である者(相続開始前5年以内のいずれかの時において特定一般社団法人等の役員であった者を含む。)が死亡した場合には、当該特定一般社団法人等が、次の計算式で計算した金額に相当する金額を当該被相続人から遺贈により取得したものとみなして、当該特定一般社団法人等に相続税が課税されます。

$$(遺贈により取得したものとみなす金額)=\frac{(特定一般社団法人等の純資産額)}{(その死亡の時における同族役員(被相続人を含む。)の数)}$$

 

この場合において、特定一般社団法人等に相続税が課税される場合には、その相続税の額から、贈与等により取得した財産について既に当該特定一般社団法人等に課税された贈与税等の額を控除します。

 

この場合における「特定一般社団法人等」とは、次に掲げる要件のいずれかを満たす一般社団法人等をいいます。
① 相続開始の直前における同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超えること。
② 相続開始前5年以内において、同族役員数の総役員数に占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。

 

また、「同族役員」とは、一般社団法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等内の親族その他当該被相続人と特殊の関係がある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)をいいます。

 

上記の改正は、平成30 年4月1日以後の一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用されます。ただし、同日前に設立された一般社団法人等については、平成33 年4月1日以後の当該一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用されます。

 

 

 

 

=編集後記=

一般社団法人を資産管理会社につかうスキームはかなり流行っている印象でしたので、やはりメスが入ったかという印象です。

 

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