制度の適用を受けるための要件
非上場株式を相続した場合の相続税の納税猶予制度について、平成30年度税制改正において規定された特例制度についての要件を確認します。
会社の要件
次のいずれにも該当しなければ制度を適用することができます。
・上場会社
・中小企業者に該当しない会社
・風俗営業会社
・資産管理会社
資産管理会社については、資産の割合等が規定されています。
有価証券、賃貸用不動産等、現金預金等の資産の割合が総資産の70%以上の会社やこれらの資産からの賃貸収入や配当収入等の運用収入が総収入金額の75%以上の会社を言います。
※贈与税の納税猶予制度の要件と同じです。
後継者である相続人等の要件
・相続開始の日の翌日から5か月を経過する日において会社の代表権を有していること
・相続開始の時において、後継者及び後継者の親族で総議決権数の50%超の議決権数を保有することになること
・後継者が一人の場合、後継者が有する議決権数が後継者の親族の中で最も多くなること
・後継者が2人または3人の場合、総議決権数の10%以上を保有し、かつ、後継者の親族(他の後継者を除く)の中で最も多く議決権数を保有することとなること
・被相続人が60歳未満で死亡した場合を除き、相続開始の直前において会社の役員であること。
※贈与税の納税猶予制度で要件であった「贈与者は20歳以上」の要件はありません。
先代経営者である被相続人の要件
・会社の代表権を有していたこと
・相続開始の直前において、被相続人と被相続人の親族で総議決権数の50%超の議決権を保有し、かつ、後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権数を保有していたこと
※贈与税の納税猶予制度では要件であった「会社の代表権を有していないこと」は要件ではありません。
担保提供
この制度の適用を受ける場合は、納税が猶予される贈与税及び利子税の額に見合う担保を税務署に提供しなければなりません。
担保提供する財産は、この制度の適用を受ける非上場株式でも構いません。
※贈与税の納税猶予制度の要件と同じです。
納税が猶予される相続税の計算方法
①すべての財産の課税価格の合計額に基づき計算した相続税の総額のうち、後継者が相続したすべての財産の課税価格に対応する相続税を計算
②後継者が取得した財産が特例措置の適用を受ける非上場株式等のみであると仮定した相続税の総額のうち、Aに対応する後継者の相続税を計算
※債務や葬式費用がある場合は、非上場株式等以外の財産から先に控除します。
③納付税額=①-②
この納付税額は相続税申告書の申告期限までに納付しなければなりません。
②で計算した税額が納税が猶予される相続税となります。
=編集後記=
贈与税の納税猶予制度で要件であった取得株数の要件については、相続税の納税猶予制度での要件はありません。